昭和史研究の第一人者が語る「総理大臣の格」 有事の政治家は「石橋湛山」を範とせよ
太平洋戦争の終戦から10年余りの時を経た昭和31年(1956)の年末、国内政治の民主化と自主外交を旗印にした石橋湛山政権が誕生した。だが、わずか65日の短命で終わる──。そして、日本は自主性なき外交の道を歩み出した。戦前・戦中から一貫して小日本主義、反ファシズムを唱え続けた反骨の言論人は、戦後、政治家として何を残したのか。
戦後政治史の教訓から、コロナ禍の危機を克服し、この国を率いていくリーダーが範とすべきことを、『石橋湛山の65日』を出版する、ノンフィクション作家の保阪正康氏に語ってもらった。(こちらから、本書の「はじめに」と序章「七票で決まった新総裁」を試し読みできます)
※東洋経済新報社125周年シンポジウムで、保阪正康氏の講演とパネルディスカッションが行われます。参加は無料です。詳しくはこちら。
Aランクの首相、Cランクの首相
近現代の日本史にあって、総理大臣は63人誕生している。明治18年(1885)の第1次伊藤博文首相から、令和2年(2020)の菅義偉首相までとなるが、この間135年間である。平均すると2年余に1人の首相が政権を担ったことになるが、長い期間では7年余、短期であれば2カ月足らずであったのだから、首相の在任期間は折々の政治情勢や首相の健康状態などによって決まったということであろう。
いうまでもなく首相としての歴史的評価は、在任期間によって決まるわけではない。その期間に、どのような哲学、思想、理念をもってこの国の舵とりを行ったかが問われるはずである。
何か歴史に残る事績を残しているかが、首相としての評価につながってくるといっていい。私はそのような視点で、63人の首相を分析していったときに、そこに当然なことにランクづけができるように思う。少なくともその首相は、どういう事績を残したかという一点で判断していけば、私の見方になるのだが、ABCの3段階に分けて考えてもおかしくはないと思う。
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