アイドルの「潰しがきかない」って本当の話ですか 大木亜希子×遠藤舞「好きなことはいつかつながる」
遠藤:私個人の話をすると、「潰しが効かないな」と思っていたのって、会社員とか飲食店のアルバイトとか、自分の名前を使わない仕事をしていた時期なんです。業務で、歌ったり踊ったりしないじゃないですか。
でも、今思うのは、おそらくその仕事も続けていけばどこかでつながる瞬間が来ていたんじゃないかということ。だから、そのつながったと思える瞬間にいくまで我慢ができるかどうかも大事な気がします。
大木:私も裏方のライター業としてタレントさんのキャスティングするときに、「経理の仕事をやっていてよかった」と感じています。数年経って、潰しが効いているんですよね。
遠藤:最初はたぶん、どんな仕事でもそう簡単にはつながらないんですよ。それってきっとみんな一緒で、よっぽど自分の性に合う仕事に出合えればいいですけど、そうじゃなかった場合、諦めないで前職の経験がつながるまで粘れるかどうか。なので、時間的なものもあると思います。
大木:遠藤さんの論もすごく興味深いんですけど、私はどちらかというと、潰しもある意味、他者が決めた物差しだと思っていて。自分はありがたいことに親が芸能活動を反対しなかった側なんですけど、一方で小さな頃から受験組で、理由もわからずにいい大学、いい高校に行って親が望む会社に入った方もいる。
そういう人たちは社会的には成功してるし、うらやましがられるけど、でも自分がやりたかった職業には就けていない可能性もありますよね。その点、好きなことを好きなだけやってる人は安定こそないのかもしれないけど、精神的満足度が高かったりする。なので、見えも外聞も捨てて、好きなことを突き詰めていけば、いつか別のキャリアに転用できると私も思います。
“屋号迷子”な自分を受け入れたときに
遠藤:そういう意味では、自己肯定感も大事になってきますよね。
大木:私の場合は”屋号迷子”な自分を受け入れられたときに、今の自分でいいなと思えました。もともとわたしは屋号コンプレックスで、「今の自分って何者なんだろう?」ってずっと思ってきたんです。会社員になったのも、収入的背景ももちろんありましたけど、いちばんは「一端の会社員になりさえすれば、社会的な信用を得られる」と思ったからでした。
でも、体を壊してしまって、自分がいちばんなりたくなかったお金のないフリーランスになってしまった。そこから懸命に働いて、この3年でなんとか持ち直してきたのが今なんですけど、自然と気持ちも変わっていきました。世間は見えてるものしか評価しないけど、私は私。どの職業やっててもどんな屋号を持っていても、これから変わっていくかもしれないし、屋号迷子な自分を受け入れて、大木亜希子というひとりの個人として生きていこうって。
(後編に続く、7月21日掲載予定)
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