人類の幸福を創造する破壊的イノベーション 論理的デザイン思考でビジネスと人生が変わる

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そのような悲劇を回避し、日本企業、またそこで働く人々の役に立てるよう、本書では改めて「どうやったらいい事業アイデアを出せるか」にフォーカスしたい。

さらに、本書は「誰にでも再現できる」という点にとくに重点を置いているため、従来のデザイン思考では感覚的にしか記述されていなかった部分を独自に発展させ、徹底的に「論理的なアプローチ」にこだわっている。

なぜデザイン思考なのか

私が最初にデザイン思考の重要性を強く認識したのは、ボランティアで母校の学生のキャリア支援をしたときだった。

優秀な人材が集まっていると言われる東京大学の学生に、「将来どんな人間になりたいか?」「何をしたいのか?」といった質問をしたところ、答えられる学生がほとんどいなかった。すなわち、彼らの多くが、「理想の自分」や「目的」をデザインすることなしに就職活動やキャリア選択を行っているということだ。

日本では、勉強を頑張ればいい学校に入れる、いい学校に入ればいい会社に入れる、という積み上げ式の考え方が浸透している。

これは、「将来何をしたいのかはわからないが、頑張っていい学校や会社に入れば(いいレールに乗ってさえいれば)、将来の可能性が広がる」という一種のモラトリアムに近い考え方とも言える。

もちろん、それでも幸せを得られるかもしれない。しかし、もし「自分の目指す姿」を明確にイメージできたらどうだろうか。さらに「その姿を実現する道筋」も自分自身でデザインし、実現できたとしたら、もっと幸せかもしれない。

幸せな人生をデザインするためにデザイン思考が役立つと書いたが、本書の目的は「破壊的イノベーションを起こす考え方を学ぶこと」である。

自分の幸せな人生をデザインすることと、破壊的イノベーションを起こすことに、いったいどのような関係があるのだろうか。

ここで、「破壊的イノベーションが起こるとき」とは、どのような状態なのかを考えてほしい。破壊的イノベーションが起こるのは、企業が新しいサービスを世の中に出し、そのサービスにより多くのユーザーが「幸せな体験」を手にしたときである(本書では、「新市場型破壊的イノベーション」を「破壊的イノベーション」と呼ぶこととする)。

そのときに、そのサービスが爆発的ヒットとなって従来のサービスを一掃し、後に人々から「破壊的イノベーション」と言われるのである。

次ページ「他者の幸せな人生をデザインすること」
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