大人もわかっていない「いじめとは違いの否定」だ 学校で、職場で「唯一絶対主義」に陥る人たち
今日はいじめ、発達障害、不登校の3つについて、お話しします。それぞれ異なるテーマではありますが、これら3つは相互に関係しています。まずは、いじめについてお話します。
みなさんは2011年10月に起きた「大津いじめ自殺事件」を覚えていますか。滋賀県大津市内の中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺するに至った、たいへん痛ましい事件です。
この事件を契機に、国は児童生徒を自殺に追い込むような状況を変えなければいけないと、2013年にいじめ防止を目的とする組織の設置などを学校に求める「いじめ防止対策推進法」という法律を制定しました。ところが2017年には全国の小中高校で約41万件のいじめが把握され、過去最多を記録。現在もいじめは増え続ける一方です。
いじめとは「ちがい」の否定
そもそもいじめとは、なんでしょうか。いじめの定義に関しては、さまざまな見解がありますが、私は以下のように捉えています。いじめとは、「相手に自分とのちがいを見つけ、そのちがいにマイナスのラベルを貼り、相手に攻撃・排除・否定・無視などをすること」。
要するに人それぞれが持つ個性や特性といった「ちがい」を、マイナスに捉えて、相手を否定する行為です。法的な対策を整備しても、いじめが絶えないのは、「ちがい」をよくないものとする考え方を、学校教育がつくり出していることに原因があると私は考えます。
従来の学校教育は「唯一正解主義」の世界です。正解は1つだけであり、わずかでもちがえば誤答であるという考え方です。こうした考え方を小学1年生からたたき込まれるわけですから、ちがいをマイナスなものとして認知してしまうのも無理ないですし、それを人間関係に応用すれば、いじめに発展するのは至極当然なことだと思うのです。