大人もわかっていない「いじめとは違いの否定」だ 学校で、職場で「唯一絶対主義」に陥る人たち
以上、いじめ、発達障害、不登校の3つの観点からお話しました。それぞれ異なるテーマではありますが、これらの点をつないでいくと、相互に連関していることがわかります。ようするに発達障害などの「ちがい」をマイナスに捉える教育が、社会的障壁やいじめを生み出し、不登校に追い込む状況をつくり出しているのです。
いじめや不登校に悩む子は、「ちがい」を否定され続けているので、少なからず自尊感情が低下しています。その子に否定的な対応を続ければ自尊感情がさらに低下して、悪循環になってしまいます。逆に言えば、「ちがい」を肯定的に捉えるように環境を整えてあげて、自尊感情を高めることができれば、子どもたちは回復に向かっていくのです。ですから、周囲がその子が持つよさを見極め、認めてあげる必要があります。
自尊感情の向上、小さな肯定から
まずは、たくさんほめてあげてください。人間はついつい、できないことに目を向けがちなので、物事を肯定的に捉えるには、じつはそれなりの練習と努力が必要です。だからこそ、小さなことでも、いいところを見つけてほめる。カーテンを閉めてくれたとか、出かけるときに電気を消してくれたとか、なんでもいいんです。ささいなことでもしっかり「ありがとう」と伝えましょう。
家庭でも学校でも、どんな場でも同じことが言えます。おたがいの「ちがい」を認め合い、尊重し合える環境をつくっていくことが、今最も必要とされていることだと私は考えます。そうすれば子どもは安心して、自分も相手も大切にしながら成長できるでしょう。
(編集・木原ゆい)
門眞一郎(かど・しんいちろう)/1948年、広島市生まれ。児童精神科医、元京都市児童福祉センター次長。著書に、『不登校を解く』(ミネルヴァ書房)、その他は自身のサイト「児童精神科医 門 眞一郎の落書帳」に掲載。
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