部活動での「いじめ」がなくならない日本の核心 学校に頼りすぎた日本、スポーツ分離のドイツ

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ドイツの学校には部活はなく、自分で選んだスポーツクラブで好きなスポーツを楽しむそうです(筆者撮影)

いじめの問題は今に始まったことではない。筆者が住むドイツはどうかといえば、やはりいじめはある。ただ、かの国の社会環境を見ると、日本のいじめ問題の議論を進めるヒントになるかもしれない。学校、部活に焦点を合わせて書き進めていく。

ドイツにもいじめはある

「俺は1人で生きていくぜ」と格好いいことを言っても無理な話で、さまざまな人間関係の中でわれわれは生きている。そのなかで出てくる問題のひとつがいじめである。いじめとは個人の自尊心に対して、繰り返し攻撃し、傷つける暴力だ。被害者は肉体的にも心理的にも健康状態を崩し、最悪の場合、自死に至ることもある。

ドイツも例外ではない。学校・職場などで起こる。OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の2017年発表によると、Wellbeing─幸福や福利といった意味だが、この項目で6人に1人がいじめの影響を受けているという数字がある。人間関係がある限り、世界中どこでも起こる可能性があるのだ。

ところで、この調査では日本でのいじめの被害を経験した人のポイントがかなり低い。「実態と合わないのではないか?」と疑問を呈するわけではないが、日本版の報告書でも指摘されているように、設問の仕方、いじめの質的な違い、認識の違いなどに国や地域によって違いがあると思われる。

それにしても、たいていのいじめは繰り返し行われ、そして競争を煽られる環境で生じやすい。この点に着目すると、構造的にいじめが発生しにくいと思われる部分がドイツにはある。特にスポーツ分野がそうだ。この部分を紐解いていこう。

繰り返されるいじめの原因は、頻繁に顔をあわせる環境にあるからといえる。ここに焦点を合わせて、日本とドイツを比べると、学校制度が異なる。

まず学校にいる時間だ。日本のほうが圧倒的に長く、ドイツは短い。
ドイツの学校は「半日モデル」がベースになっている。もちろん学年が上になってくると授業が夕方まである日も出てくる。また数年前から「終日学校」というものもできてきている。それにしても「半日モデル」をベースに追加的に学年によって午後から授業があると考えるとドイツの学校を理解しやすい。

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