「全部知っている単語」なのに英語が読めないワケ 単語さえわかれば英語は読めるという人の誤解

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英文②(When I opened the door, I was so shocked that he was there that I was utterly speechless.)も、①同様、特別難しい単語は含まれていません。When I……のように接続詞から始まっている文は、その接続詞が従える部分が終了するまでは文の骨格が見えてこないので、まずはその範囲を確定します。

接続詞のwhenは名詞節も副詞節も作ることができますが、文頭では副詞節であることが多いため、この節が終わった後に主語と述語動詞が出てくる可能性が高い、と考えながら読み進めます。doorの後のコンマ(,)をヒントにして、when節の範囲を確定し、I(S)was(V)という骨格を把握しましょう。

高校英文法で習う so…that 構文

その後も注意が必要です。so shocked「それほど衝撃を受けた」と言うのですから、どれほど驚いたのだろうと考え、その説明をするthat節が続くことを期待しなくてはいけません。

因果関係や程度を表す、いわゆるso……that 構文で、高校英文法で習う内容です。しかし、すぐ後にthatが出てきたからと言って跳びつかないように。

so shocked
訳:「それほど衝撃を受けた」
that he was there
訳:「彼がそこにいたほど(??)」
『英語の読み方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

これでは意味が通っているとは感じられません。ここから、このthat は「なぜ衝撃を受けたのか」、つまり、shockedの状態に至る理由を表す節を構成するものになっていて、後に出てくるthatこそ、so……that構文のthatだと判断しなければなりません。

so shocked that he was there
訳:「彼がそこにいることにそれほど衝撃を受けた」
that I was utterly speechless.
訳:「全く言葉が出ないほど」

こう解釈すれば、ドアを開けたらまったく予想外の人物がいて、言葉を失っている光景が浮かんできます。まとめれば、「ドアを開けたとき、彼がそこにいることに私は全く言葉が出ないほど衝撃を受けた」という訳になるでしょう。

北村 一真 英語学者

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きたむら かずま / Kazuma Kitamura

1982年、兵庫県生まれ。慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得満期退学。学生時代に大学受験塾にて英語講座を担当。滋賀大学などの非常勤講師を経て杏林大学外国語学部助教。 2015年より同大学准教授、中央大学法学部兼任講師。著書に『英文解体新書』『英文解体新書2』(研究社)、『英語の読み方』(中公新書)など。

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