30年後、日本は「明るい廃墟モール」だらけ!? ピエリ守山に学ぶ、失敗するモール・成功するモール

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ピエリ守山から半径何キロメートル圏内に人がどれぐらい住んでいるかをビジュアル化したもの。船場が開発した独自の「メッシュデータシステム」による

 

商圏とは、その商業施設に集客できる範囲を意味する。規模や業態によって、どのくらい遠くから集客できるか、全国約3000のショッピングモールのデータから、だいたい予測できるという。

ピエリ守山の規模・業態は、CSC(コミュニティショッピングセンター)~RSC(リージョナルショッピングセンター)。商圏は5~10キロメートル。「一般的に言って、年間300億円以上を売るRSCは、50万人以上の商圏人口を必要とします」(深井さん)。

ところがピエリ守山は、半径1キロメートル圏内にたった2500人しかいない。3キロメートル圏内で2万8000人、5キロメートル圏内で6万6000人。10キロメートルまで広げても23万6000人しか住んでいなかった(2010年当時)。

地図を見ればわかるが、ピエリ守山の周囲はかなりの部分が琵琶湖だ。人が住めない。

「そもそも、この商業施設を成り立たせるだけの商圏がなかったのが敗因です。商圏人口を担保できないと、設計やデザインなどをいくら頑張っても失敗する。もの珍しさで1回は行っても、やがて行かなくなってしまう」(鈴木さん)。

アウトレットモールの業態は商圏が広く、より広域から集客できるという。たとえば、御殿場のプレミアム・アウトレットは東京から約80キロメートル離れているが、車でドライブがてらやって来るし、軽井沢アウトレットは全国からリゾートとからめてやって来る。「リゾートとアウトレットは非常に相性がいい」(深井さん)。

ならば、ピエリ守山もアウトレットモールにして、琵琶湖畔へのリゾートとからめればいいのではないか。……と思ったら、すでに三井アウトレットパーク滋賀竜王が建っていた。ピエリ守山の2年後に開業している。

ピエリ守山は現在、全面リニューアルに向けて改装中、今年秋に再オープンが控えている。前途は明るくなさそうだ……。

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