溶けにくい「出前クリームソーダ」意外な開発秘話 冷凍庫から出して30分経っても液状化しない

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ロッテが業務用として3月1日に発売した「とけにくいアイス ゆったりバニラ」。ゼラチンを使用し、時間が経っても型崩れしにくい。学校や高齢者施設、飲食店への展開を予定している(写真:ロッテ)

ロッテリア広報担当は次のように説明する。

「当社では毎年の夏、メロンソーダにアイスをのせたクリームソーダをご提供してきました。2021年の夏も新しいクリームソーダを何かご提供できないか、そしてコロナ禍でも、デリバリーやテイクアウトで楽しんで頂けるものを開発できないか、と考えていたときに『とけにくいアイス ゆったりバニラ』との奇蹟の出会いがありました」(ロッテリア、マーケティング部広報・宣伝チームリーダーの小島啓太氏)

「とけにくいアイス ゆったりバニラ」とは、同グループに属するロッテが業務用として2021年3月1日に開発した商品だ。安定剤としてゼラチンを使用しており、冷凍庫から出してしばらく置いても、液状化しにくい構造となっている。

スプーンですくえないぐらいの硬さ

本当だろうか。試食してみた。

最初に一口、ソーダの清涼感を楽しんでから、アイスにスプーンを入れる。スプーンでほとんどすくえないぐらいの硬さだ。ほんの少ししか口に入れられないため、味はまだわからない。

30分ほど置いてまた挑戦した。実際にデリバリーしてもらった場合は、ちょうどこのぐらいの時間が経った頃に食べ始めることが多いだろう。形状がほとんど変わっておらず、外見からは溶けているように見えない。しかしスプーンを立てると、ふわっとした感触に変わっており、中までスプーンを入れることができた。バニラアイスのミルキーな味が口に広がる。溶けてソーダに混ざったところを味わうのはお約束の楽しみ方だ。

ただ普通のクリームソーダで味わうような、最初口にひんやりとした感じが広がり、食べるにつれ頭がキーンとなるような感触はない。歯にもしみない、やさしい食感のクリームソーダといったところだろうか。

またクリームソーダでは、溶けたアイスが飲み物の氷と癒着してブロックアイスのようになり、最後まで食べられなくなってしまうことがよくあるが、この商品ではそういった事態は起こらなさそうだ。

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