溶けにくい「出前クリームソーダ」意外な開発秘話 冷凍庫から出して30分経っても液状化しない
今は新型コロナウイルスの影響で遠出も制限されている。こうした昭和レトロ感あふれるアイテムの写真を撮ってSNSにアップすることで、タイムスリップしたような非日常性を得られるのかもしれない。
出前クリームソーダは冒頭にも述べたように、想定以上の反響を得ることができ、販売好調店舗では当初目標の2.5〜3倍の売れ行きとなったそうだ。また提供範囲が限定されていたため、それ以外の地域からの問い合わせも多く寄せられた。
どのような客層からの注文が多かったのだろうか。
「出前館を利用する客層は30〜40代がメインで、あとは20代。単身者が多いと聞いています。ですので、出前クリームソーダをお求め頂いた客層もそう変わらないと考えています。デリバリーの食事を1人で食べていても、写真をSNSにアップすれば、他者と『つながる』ことができる。そんな楽しみ方が一般的になっているようです」(小島氏)
デリバリーが定着すると予想
しかし同社がデリバリー用のクリームソーダを開発した理由は、ユーザーニーズのためだけではない。ファストフードチェーンのビジネスモデルでは、例えばハンバーガー単品を販売したのでは利益が出ない。ハンバーガー、ポテト、ドリンクの3点セットで注文してもらうことが重要なのだ。
しかしテイクアウトやデリバリーではどうしても、ドリンクの注文比率が低下するのだという。デリバリーにおいても、希少性、付加価値ともに高いドリンクを展開することが至上命題だったのだ。
というのも、同社では今のイートインとテイクアウト・デリバリーが併存する状況が常態になると考えているためだ。ワクチン接種の普及などにより感染状況が改善してからも、新しい様式としてデリバリーが定着すると考えており、テイクアウトやデリバリーにさらに注力していく。
その1つが、「時間が経っても味が落ちないメニューの研究開発」だ。今回の出前クリームソーダはその第1号なのである。
ファストフードは提供スピードが勝負なだけに、冷めると味が落ちる度合いが他の料理に比べて大きいと言える。その常識を覆すのが同社の目標だ。
同時に、アフターコロナで消費がイートインに戻ったときのために、イートインのメニューにも競争力の高い商品を展開していくという。「できたてこそがおいしい」、あるいは「ライブ感」「体験型」といったことがキーワードになるだろう。
多くの飲食店ではまだ打撃から逃れることができていないが、テイクアウト、デリバリーに強い業態ではコロナ禍も好調だった。今、アフターコロナ社会に向けて各社、水面下での競争が始まっているようだ。
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