ただし、各国が輸出管理を行うのは、国際社会の安全性を脅かす国家やテロリストなどに、武器や軍事転用可能な製品が渡ることを防ぐためだ。そして、それを、国際的な枠組みの下で、抑制的に運用している。
日本も、大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造等に関連する資機材などの輸出や、これらの関連技術の非居住者への提供について、外国為替および外国貿易法に基づき、必要最小限の管理を実施している。
これに対して、中国の輸出管理法は、上記のような目的だけでなく、自国の安全保障と利益を独自に守ることを目的としている。
こうした手段を乱用すれば、自由貿易の原則は著しく損なわれるだろう。
ただし、このような輸出管理を行うのも、中国が初めてというわけではない。トランプ前大統領が、「安全保障」を理由に、中国制裁のために輸出管理規則を運用したことが始まりだ。
そして、「安全保障」という理由が名目上のものになって、規律が失われつつある面がある。
例えば、トランプ政権は2020年12月に中国の半導体ファウンドリーSMICに対する制裁を発動したが、この措置をアメリカの安全保障の点から正当化できるかどうか、大いに疑問だ。
中国が成長したのも国を開いたから
だから、アメリカ側も、現在の政策を見直す必要がある。
国際的な経済取引では、何をしてもよいわけでない。
自由貿易の原則がある。
そのことによって、あらゆる国が利益を得る。
中国が成長したのも、国を開いたからだ。
この原点に戻ることが必要だ。
こうした議論には、「現実世界はそんなに簡単なものではない」という反論が返ってきそうだ。
しかし、米中摩擦でもっとも重要なのは、原点を忘れないことなのだ。
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