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政治・経済・投資 #野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」

泥沼化の「米中摩擦」決して忘れてはならない原点 規制強化で解決せず、自由貿易の原則に立ち戻れ

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ところが、この鉱床の多くが中国に集中しており、全世界の約7割が中国で生産される。

日本は世界の需要の半分を占めるといわれ、中国から大量のレアアースを購入している。

だから、輸出管理法によって、中国からのレアアースの購入が困難になることを非常に恐れているのだ。

 2010年レアアース戦争は日本の「勝ち」

「レアアース戦争」は、実際に起こったことがある。

2010年9月7日、尖閣諸島で中国人船長が日本海上警察に逮捕される事件があり、その後、中国からのレアアース輸出が規制されたのだ。

2012年3月、日本はアメリカ、EUとともに、中国のレアアース輸出規制をWTOに提訴した。そして、2014年8月に協定違反の判決を引き出した。敗訴した中国政府は、2015年1月、レアアース輸出規制を全面撤廃した。

なお、日本の対応は、以上だけでなく、もっと積極的なものだった。

日立製作所やパナソニック、ホンダなどは、都市鉱山(既存部品の廃品)からの回収やリサイクルを行った。さらに、より少ないレアアースで性能のいい製品を開発した。

こうしたことにより、日本の中国へのレアアースの依存度は、2009年の86%から2015年には55%まで低下した。

レアアースの価格が急落したため、中国のレアアース生産企業は赤字に陥った。中国は自分で自分の首を絞める形となったのだ。

こうして、レアアースの紛争は、日本の勝利に終わった。

日本企業は、いまでもレアアース需要を減らすための技術開発を続けている。

2018年、トヨタ自動車は、レアアースの使用量を半分に減らした磁石の開発に成功した。

そして、政府の支援政策は、政権に関係なく一貫して推進されている。

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【太平洋の深海底などでレアアースが発見】

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