中野 世の中が変わるというのは?
藤野 僕はバブル入社組なのですが、それ以前の人たちって、年功序列賃金だったじゃないですか。要するに、若いうちは安月給だけれども、年功を重ねることによって右肩上がりに賃金が上がっていく。でも、バブルが崩壊して年功序列賃金が無くなった。となると、僕らの世代というのは、年功を重ねても賃金が上がらない恐れがある。割りを食ってしまいますよね。だから、思いきってチャレンジしてもいいかなと考えるようになったのです。ちょうどその頃、いくつかの外資系運用会社から声が掛ってきたので、そのひとつに乗ってみたというわけです。
社内でなく、社外で「いい値!」がつく人に
渋澤 まあ、これからの時代は社内だけに通じるマーケットバリューを高めるのではなくて、労働市場でのマーケットバリューをいかに高めるか、ということが大事になってきますよね。
中野 だから、私の意見に賛同して下さった親会社の社長は、いつも社員に「一人、一人、転職活動して来い」って言っていましたよ。転職活動をすれば、外部から見た自分のバリューがどのくらいか、分かるじゃないですか。
藤野 それは、なかなかのものです。これを言える経営者って、少ないでしょう。
中野 組織にいると、ねたみやそねみで人の足を引っ張る人が必ず出てくるじゃないですか。マーケットバリューがない人ほど、そういうことをするんですよね。
藤野 それは僕自身も全く経験がないわけではない。なかにはトラップを仕掛けてくる人がいたりしてね。でも、そういう姑息なことをする人って、周りの人が見ているものですよ。特に同僚なんかはね。これ、転職する場合、本当に影響が出ます。僕も人を雇う時、面接した人の同僚に、その人のことを聞くようにしています。
中野 でも、何て質問するんですか。
藤野 とてもシンプルですよ。「その人のこと好き?それとも嫌い?」って聞けばいいんです。いくら仕事ができる人でも、なにかあると、周りの人は「嫌い」って答えますし、どれだけ性格の良い人でも、仕事が全く出来なければ、やはり周りの人は「嫌い」って答えます。必然的に「好き」って言われている人というのは、性格も良いし、仕事も出来るということになります。
中野 なるほど。「いい人なんだけどね~、残念!」ってわけですね。
藤野 やっぱり、今の職場できちんと仕事をしないと、転職もままならないということですね。
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