成績はいいのに「内申点が低い子」に足りないもの 先生は結果よりも「プロセス」を重視している

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定期テストの点数は学年でトップクラスなのに、「内申点がどうしてもオール4前後を行ったり来たりで上がらない、アドバイスをください」と遠くから相談に来てくれた中2のA君。

通知表や学校への提出物を見てみると、明らかに副教科の手を抜いていることがわかりました。副教科とは、「音楽」「美術」「保健体育」「技術・家庭」の4教科のことをいいます。

「成績がいいのに内申点が低い子」に足りないもの

成績のいい子にありがちなのですが、主要5教科にのみ力を入れ、どうしても副教科を軽く見てしまうのです。A君の場合、技術・家庭のレポートが適当に書かれていて、字も雑でした。

「これは厳しいよ。こういうことをちゃんと手を抜かないでやらないと、内申は上がらないよ。〝内申は先生の心がつけている〞んだから。技術の先生が喜ぶようなレポートを書いてみようよ」

こんなふうにアドバイスをしたところ、技術家庭が3→4になり、内申の評価観点の「関心・意欲・態度」(2021年4月から新学習指導要領がスタートし、「主体的に学習に取り組む態度」に変更)は全部Aに。結果、トータルで内申は(9教科オール5で満点)まで上がり、テストでは学年2位になりました。

副教科は盲点です。頭のいい子ほど副教科をなめているところがあり、手を抜きがちです。体育や音楽、美術はどうしても、もともとの能力やセンスに差があります。

だからといって能力が高い子が必ずしも5をとれるわけではなく、また能力のない子は1か2しかとれないというわけでもありません。

「能力やセンスはないけれども、一生懸命取り組む姿」「もっとよくなりたいと努力する姿」「知識を得たいと学ぼうとする姿」が内申点という数字として表れてきます。勉強だけなら塾でもできるわけです。義務教育の「中学校」で評価しているのは、テストの点数だけではありません。

勉強を通じて何を学んでいるのか。先生の観察によって得られる「人間性」が評価されていたのです。

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