「食中毒」を起こさないために重要な3つの原則 「冷蔵」や「冷凍」を過信してはいませんか?

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食中毒の予防・対策としては、どのような食品に、どの種類の細菌が多く、さらにその細菌が体内に侵入するのを防ぐためにはどうしたらよいかを把握することが大切です。

細菌性食中毒の主な原因は、カンピロバクター(鶏肉)、サルモネラ(生卵)、腸炎ビブリオ(生魚)、腸管出血性大腸菌(牛レバーや牛タタキ)、黄色ブドウ球菌(おにぎり)です。これらの細菌ごとの詳しい特徴は厚生労働省や、病院・製薬会社等のホームページにまとめて掲載されていますので、一度目を通すことをおすすめします。とはいえ、感染症の専門医のように詳しくなる必要はなく、日々の生活で十分に対策ができます。

日常的な食中毒予防の基本となる3原則は「①つけない②増やさない③やっつける」です。まずは手洗いによって細菌を食品に「つけない」ことを意識しましょう。調理前の手洗いに加え、生肉や生魚を扱う前後にも石鹸での十分な手洗いが必要です。また、生肉や生魚の汁が野菜等の生食する食品につかないように野菜用と生肉・生魚用のまな板は分け、使用の都度しっかり洗剤で洗いましょう。

細菌を「増やさない」対策としては、温度管理がキーワードとなります。食べ物を常温で長時間放置すると、とくに梅雨〜夏場は食品が傷みやすいことはご存じの方も多いかと思います。しかし、これに加え、冷蔵や冷凍では細菌は死なないことも知っておく必要があります。細菌は10℃以下では増殖が遅くなり、-15℃以下では増殖が停止するものの、冷凍により死滅することはなく、温度が上がれば再び増殖を開始します。

したがって、冷蔵や冷凍を過信せず、解凍の際も常温での解凍を避けて電子レンジや煮沸、冷蔵庫での解凍を行いましょう。また、冷蔵庫や冷凍庫に食材を詰め込みすぎると冷却効率が悪くなるため、食品は庫内の7割程度にとどめ、週に1度は食材の整理をすることも効果的です。

加熱が最も有効だが、例外もある

そして、3つ目のポイントである細菌を「やっつける」ためには、加熱が最も有効です。ほとんどの細菌は加熱によって死滅するため、中心部まで十分に(中心75℃以上、1分間以上)加熱することを心掛けましょう。温め直しの際もしっかり沸騰させ、電子レンジでの加熱においてはこまめに中身をかき混ぜ、加熱ムラを作らないことが重要です。

調理器具の保管の際も、まな板や布巾、スポンジ等を煮沸・漂白剤で殺菌するほか、湿気による細菌の増殖を防ぐためしっかりと乾燥させることで清潔に保つことができます。

ただし、例外として加熱で殺菌ができない細菌も存在します。ウエルシュ菌(カレー等の煮込み料理)やセレウス菌(炒飯やパスタ)は熱に強い芽胞という殻を作ります。芽胞は温かく(50℃前後)空気の少ない場所で増える特徴があるため、加熱や温め直しの際は鍋底まで空気を送るようにしっかりとかき混ぜ、保存の際は粗熱が取れたらすぐに冷蔵庫で冷やすことが対策になります。作り置きのカレーやシチューは小分けにして保存すると冷却しやすく、おすすめです。

また、黄色ブドウ球菌(おにぎり)も菌自体は加熱で死滅するものの、産生された毒素は熱で壊れないため、黄色ブドウ球菌の温床である汚れた手や傷のある手で食品を触らないように手洗いや調理用手袋、ラップを用いて調理を行うとよいでしょう。

そのほか、日常生活で気をつけられるポイントとしては、スーパーで食品を購入する際は生鮮食品を最後に買ってなるべく食材を常温にさらす時間を減らすこと、調理から時間の経ったものは見た目に変化がなくても思い切って捨てることが挙げられます。

蒸し暑さが続くこの季節、食材の管理を適切に行い、健康な毎日を過ごしましょう。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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