KDDI「高額スマホ販売」でショップ評価の大問題 総務省の改善要請に対し繰り出した「別の手法」

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これら以外のスマホ端末は3点だ。初心者向けの廉価版スマホやミドルレンジと呼ばれる1万~5万円程度のスマホの端末がここに入る。ガラケー(従来型携帯電話)は2点、iPadなどのタブレット端末は1点、という具合で振り分けられている。

例えば、新規の通信契約者にiPhone12を販売すれば、4点(新規の通信契約1人分×端末評価点4点)が得点になる。これらの積み上げで、この評価項目の最終評価が決まる。KDDIの代理店評価ではこのほかに、端末補償といった有料オプション獲得数、光回線や電気の契約の獲得数などに即した項目もある。

代理店は各項目の総合点で相対評価され、3カ月ごとにランク分けされる。これによりKDDIからもらえるインセンティブの額も決まるわけだ。さらに店舗評価がいちばん下の「Dランク」を一度でも取ると、インセンティブの支給自体が「永年停止」となり、事実上の強制閉店に追い込まれる。

前出のauショップ幹部は新たな端末販売評価について、「これからの競争の主戦場になるだろう。その結果、例えば操作が簡単な廉価版スマホで十分な高齢者に対し、無知に付け込んで最先端の高額な端末を売る、といったことも起きうる」と話す。

不適切販売を起こしかねないサバイバルの構図自体は、以前と何ら変わっていないわけだ。

一見「薄利」な高額端末を売りたい理由

もっとも、携帯大手各社が高額端末販売自体から得る直接的な利益は、実はさほど大きくないとみられる。

携帯各社ではショップが高額端末を販売する際、48カ月などでの分割販売を推奨することが多い。加えてこの場合、利用者が24カ月後に端末を返却すれば25カ月目以降の残債を免除(つまり実質的な半額値引き)する仕組みが主流で、この値引きの原資はすべて携帯各社が持つ。そのため、各社が得られる粗利は極めて低い。

それでもKDDIが新たな評価項目を導入してまで高額機種販売を強化するのには、カラクリがある。複数の業界関係者の話を総合すると、携帯各社はスマホメーカーと「握り」という約束を交わしている場合が多いようだ。携帯各社とメーカーが相談のうえで機種ごとに目標販売数を設定し、達成すれば携帯各社が何らかのメリットを得るというものだ。

見返りとしては、例えば「今後の卸値を安くしてもらえる」「キックバックをもらえる」「特定の機種やカラーが品薄の場合、大手3社の中で優先的に回してもらえる」などが挙げられそうだ。

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