KDDI「高額スマホ販売」でショップ評価の大問題 総務省の改善要請に対し繰り出した「別の手法」
「今度はスマホ端末の販売で競争させるのか」。あるauショップの幹部は、KDDIから5月下旬に送られてきた新たな販売代理店評価施策を見て、愕然としたという。
KDDIがauショップを営む販売代理店に対し、客にどれだけ高額なスマートフォン端末を売ったのかを測定する成績評価制度を導入したことが、東洋経済の取材でわかった。
携帯大手各社の代理店施策を巡ってはこれまで、大容量プランの獲得率を測定し代理店同士競わせるなど、厳しい評価制度の存在が明らかになっている。総務省は4~5月、こうした代理店施策が不適切販売につながっているとし、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに改善を求めたばかりだ。
とくにKDDIの施策には、通信契約を伴うスマホ購入者(機種変更含む)の54%以上を大容量プランに加入させなければショップに「マイナス評価」を付ける内容などもあり、利用者ニーズに沿わない販売を助長する可能性から最も問題視されていた。
これらの指摘を受け、KDDIは代理店評価施策からくだんの大容量プラン関連の項目を除いた。その代わりに今回加えたのが、スマホ端末販売に応じた評価。ただ、これも大きな問題をはらむ施策といえそうだ。
内部資料は語る
代理店に配られた内部資料によれば、今回KDDIが加えた評価項目では、通信契約と端末販売をセットにして代理店を評価する。複雑な要素を省き、以下にざっくり説明したい。
ここでいう通信契約には、新規客のもの、他社からの乗り換え客のもの、既存客のもの(機種変更)の3種類がある。新評価制度はそれぞれの通信契約数に、端末ごとに設定している評価点を係数として掛ける仕組み。通信契約を伴わない、端末のみの販売は「0点」だ。
一方の端末の評価点は、機種ごとに0.4~5点の間で設定されている。
端末評価の最高・5点は「Galaxy Note20 Ultra 5G」(税込み単価13万1160円)や「Galaxy S21 5G」(同11万8540円)など、特定の高額なアンドロイド端末。続いてiPhone12シリーズなどの高額端末が4点となる。