ギャンブル産業は舞台裏もエキサイティング 巨大カジノの表と裏を描いたドラマで非日常を体感

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また、生活保護の小切手426ドルをチップに換えたホームレスは、バカ当たりして120万ドルを稼ぎ出す。この手の大金を稼いだ客も要注意で、いいところで引き上げるように勧告したり(あまりにも高額になるとホテルの損失になる)、換金した小切手や現金を狙われないよう注意を促すのもエドたちの仕事だ。

ホテルとしては金を使わせるのが使命である一方、損失が出るほどの大金を失うことも避けなければならない。客の側からいえば、誰にでもそれほどの大金を稼げる可能性があることに夢を見るのだろう。

ギャンブルの光と影

当然のことながら、光には影がつきものだ。一攫千金の夢の世界は、暗く広がる闇と表裏一体である。日本でも、ギャンブル依存症や治安の悪化など、カジノの負の側面を懸念する声も少なくないが、『ラスベガス』でも苦い教訓を伝えるエピソードは頻繁に登場する。

ギャンブル依存症で借金がかさみ、観光地の外に広がる砂漠で死体となって発見される者、稼いだ大金をめぐりいさかいを起こす者、ツキがめぐってきたお上りさんに近づくカネ目当ての女たち。カネが絡むと、人は思ってもいない行動や本性を見せるものなのだ。

ドラマを見ていて、いちばんハラハラするのは、ビギナーズラックで稼いだ善良かつ平凡な一見様の観光客が痛い目に遭いそうになるときだろう。正直、犯罪組織はもちろんのこと、資産家やセレブが痛い目に遭おうが、さして気の毒とは思わない。もちろん、ドラマではしばしばダニーらの活躍によって、とりわけ善良な人々のトラブルは事前に防ぐことができるわけだが、実際にはどうなのだろうか?と思わずにはいられない。

ちなみに、ラスベガスのあるネバダ州は、法人税や個人所得税などがなく、ほかの税金も税率が低いため、大企業が多く進出している。アメリカでは州ごとに法律が細かく異なるため、ラスベガスを舞台に実在の弁護士を主人公にした『ディフェンダーズ 闘う弁護士』など、地域の特性が生かされているリーガル・ドラマなども興味深い。

法律の違いでわかりやすいのは、ネバダ州は婚姻&離婚の手続きが他州と比べて簡易であることだろうか。人気ドラマ『フレンズ』や映画などで、酔った勢いでラスベガスで電撃挙式といった場面を見たことがある人も多いと思う。それゆえラスベガスには結婚式のみを行うための教会も多く、中には24時間営業からドライブスルー形式もあるとか!

『ラスベガス』でも、ホテル産業においてウェディングが重要なビジネスのひとつとして描かれているが、割とよく登場するのが、カジノで出会って即挙式……というカップルのエピソードだ。個々の事情はさまざまだが、往々にして“べガス熱”と言われる、正常な判断ができないハイの状態になっているケースが多い。このハイ状態が、カジノの魅力と危険の双方を象徴しているように思う。

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