社長追放でも残る セイコー名誉会長の影

社長追放でも残る セイコー名誉会長の影

5月6日木曜日、夜7時半。港区のある高級マンションの前に1台の白いクルマが止まった。ドアが開き、現れたのは、セイコーホールディングス(以下HD)名誉会長の服部禮次郎氏である。記者が質問を投げかけると、禮次郎氏は家にも入らずドアを閉じ、クルマは逃げるように走り去っていった。一連のクーデター騒動の“主役”は、何も答えずに沈黙を守った--。

さかのぼること1週間前の4月30日。午後2時前に銀座の和光本館7階へセイコーHDの取締役、監査役が集まり始めていた。大半は、その直後に起こるクーデターなど、予想すらしていない。

同社の定例の取締役会は月1回、第2火曜日の2時からだが、決算発表前月の4月に限っては、月末にも開かれる。役員は早めに到着して、禮次郎氏の部屋で雑談するのが慣例だ。この日、雑談はやや長引き、開始は30分ほど遅れた。

出席者は、村野晃一会長兼社長(当時)、服部真二副社長(同:写真)ら取締役6人全員と、監査役5人中4人の計10人だった。名誉職である禮次郎氏は取締役会に出席していない。

2時半、村野氏が開会を宣言した。その直後、元検事総長で社外取締役の原田明夫氏が手を挙げた。

「議長である村野社長の解任を要求する。後任の議長に服部副社長を推薦する」

この日、原田氏が発議した三つの緊急動議のうちの一つ目だ。村野氏を除く5取締役のうち、真二氏、中村吉伸氏、原田氏の3人が賛成。鵜浦(うのうら)典子氏、山村勝美氏の2人が反対し、過半数の同意で村野氏の解任が決定した。二つ目の動議である「真二氏の社長就任」、三つ目の「鵜浦取締役の業務執行停止」についても過半数の賛成を得て可決された。

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