スタバ「1600店超」でも安定運営できる圧倒的強み 日本開業25年で行う「原点回帰」と「深化」

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消費者の目線では、同施設は、いわば「テーマパーク」だ。通常の店とは店内から見える景色がまったく異なり、ドリンク+フード+スイーツを注文すると3000円前後もする。カフェの飲食としては高いが、テーマパークでの飲食と考えれば納得できそうだ。

ロースタリーで提供されるアイスティー「シトラス ラベンダー セージ」(左)とロースタリーで焙煎された豆を用いた「スターバックス リザーブ グラビタス ブレンド ヴィンテージ2021」(筆者撮影)

「ティー中心の店」「ベーカリー店」も展開

スターバックスの関係者は、「ロースタリーというあれだけの施設ができたので」という言い方もする。そこで最近の活動を「次の一手」の視点で3つに整理してみた。

(1) ロースタリーで培ったノウハウをスピンオフ

(2) アメリカでの創業時や日本の喫茶文化をリスペクト

(3) 温故知新をしつつ、さらに深めようとする

それぞれ事例で簡単に説明したい。

まず (1)「ロースタリーで培ったノウハウをスピンオフ」は、映画やドラマの出演者が別の舞台で活躍する、派生作品的な取り組みだ。

2020年7月、東京・六本木に「スターバックス コーヒー 六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザ店」がオープンした。通称「ティバーナ」だ。ロースタリーの2階で培ったノウハウを展開する店で、紅茶をはじめ、茶系ドリンクを前面に打ち出す。アメリカでの創業店名に「コーヒー、ティー&スパイス」がついていたのも意識した。

また、ロースタリー1階のイタリアンベーカリー「プリンチ」の単独店も都内で展開している。いずれも従来のスタバとは違う雰囲気で商品構成も特徴的だ。

六本木の「ティバーナ」はカウンターも店内も独特の雰囲気だ(写真:スターバックス コーヒー ジャパン)

店の業態ではなく、商品のスピンオフもある。

「4月14日から全国発売された『コールドブリュー コーヒー フラペチーノ』もそのひとつです。日本上陸25周年を記念して発売された商品で、各店舗で約14時間かけて水で抽出したコールドブリューコーヒーを使用。ロースタリーの抽出技術を共有しています」

こう説明するのは、加藤桜子氏(商品本部本部長)だ。大手小売業からスターバックスに転じた商品開発の専門家。社内の組織変更で、ロースタリー向けの商品開発チームとコア店舗(通常店)向けの商品開発チームが同じラインとなり、意見交換がより濃密になった。

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