「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態

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2014年に成立した水循環基本法では「水は国民共有の財産」と定められている。ただ、あくまで理念法であり、具体的に地下水の保全や活用について触れたものではない。

対策として独自に条例を設けている自治体もある。条例は2タイプに分けられる。1つは土地取引のルール、もう1つは地下水の保全や活用に関するルールだ。

土地取引のルールの代表は、北海道の「水資源の保全に関する条例」だろう。内容は、①水資源保全地域を指定、②指定された区域内の土地の権利を移転する場合には、土地所有者は契約の3カ月前までに届出を行わなくてはならない、というものだ。

地下水の保全や活用に関するルールの代表は、熊本県の「地下水保全条例」だろう。地下水を大口取水する事業者は知事の許可が必要としている。この条例は地下水を「私の水」ではなく「公共の水」であるとしていることが特徴で、地下水は水循環の一部であり、県民の生活、地域経済の共通の基盤である公共水であると明記されている。

条例制定も容易ではない

だが、条例制定に二の足を踏む自治体も多い。

問題は3つある。1つ目は、条例が適切かどうか。自治体としては、不適切な条例を作って、行政訴訟などのトラブルが起きるのは避けたい。2つ目は、自治体内が必ずしも一枚岩ではないこと。地下水保全を考えるグループがある一方で、地下水を資源として販売するなど積極的に活用したいグループがある。3つ目は、自治体間の調整。地下水の流れは自治体の垣根を超えるケースがあり、近隣自治体と考え方が違う場合にどう調整をつけるかなどに頭を悩ませている。

地下水の流れが自治体をまたぐケースは少なくない(イラスト:筆者作成)

なかでも1つ目の「条例が適正かどうか」は大きな問題だ。「国に地下水に関する法律がないのに独自の規制をつくるのは不安」「行きすぎた規制をつくって行政訴訟になるのが怖い」というのが悩みだ。

土地取引ルールについて捕捉すると、前述の通り、日本には現在、土地取得に関して外資規制がなく、これを問題視する向きから「重要土地等調査法案」の審議が始まっている。自衛隊基地や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制するというものだ。

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