EV電池に必須の「リチウム」の確保は大丈夫か 脱炭素のカギ握る資源をめぐる大問題

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一方、生産国としてはオーストラリアが約5割、チリが約2割。中国とアルゼンチンを加えた4カ国で9割超となる。今後生産が伸びそうなのは中国だ。リチウムが取れる塩湖もあれば、リチウム鉱石もある。従来なら採掘対象にならなかった低品位鉱石も対象になってきた。

――埋蔵、生産とも特定の国に偏在していますね。ただ、レアメタルのように中国依存度が極端に高いわけではないので、日本の調達リスクも低いと考えていいでしょうか。

先ほどリチウムは鉱石からの精製とかん水からの精製があると述べた。実は、リチウム鉱石からの精製では中国依存度が高い。鉱石そのものは主にオーストラリアで生産(採掘)される。しかし、その鉱石を中国に運んでそこで炭酸リチウムに精製する構造ができあがっている。炭酸リチウムという化合物で見ると中国依存度は5~6割になる。

――かさばる鉱石をわざわざ中国に運んで精製しているのはなぜですか。

リチウム鉱石に含まれるリチウムはわずか6%。鉱石を運ぶということはコストをかけてほぼゴミを運んでいるといえる。本来なら採掘拠点の近くで精製すればよい。そうなっていないのは、精製過程の廃棄物として硫酸ナトリウムや大量の残渣が発生するからだ。

中国の強さは環境規制の緩さ

――中国は廃棄物の処理技術が優れている、と。

技術ではなく、コストの問題だ。環境規制が厳しい先進国で精製するのは難しい。一方で中国は環境規制が緩かった。

――ある意味、中国の環境の犠牲の下で安くリチウムを使ってきたわけですね。しかし、中国でも環境意識が高まってきています。

中国でも環境規制が強化される可能性はある。その場合、供給構造も変わってくる。実際に最近ではオーストラリアで鉱石から精製まで行う動きが出ている。しかし、日本で精製されることはないだろう。特別な技術はいらないとはいえ、今から日本に精製設備を一から作っても競争力はない。

――オーストラリアで精製までされるようになれば、日本として調達面で不安は少ないといえますか。

オーストラリアで炭酸リチウムまで精製されたからといって、日本が調達できるかはわからない。どこの国が買うかはバーゲニングパワーが決めることになる。

次ページリチウムの採掘や精製での脱炭素の課題は?
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