EV電池に必須の「リチウム」の確保は大丈夫か

脱炭素のカギ握る資源をめぐる大問題

大久保聡(おおくぼ・さとる)/1996年金属鉱業事業団(現・独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)入団。2008年金属資源企画調査グループ調査課、2010年希少金属備蓄部企画課。2013年5月から金属資源技術部生産技術課でリチウムを含む金属資源の生産技術に関する調査を担当(写真:JOGMEC提供)

――需要の増加で価格は高騰していますか。

2016年から中国の買いによって価格は1トン当たり約1万8000ドルまで高騰した。2018年半ばには約1万2000ドルだったが、その後は下落に転じて2020年末には約5000ドルまで下がった。足元ではまた中国の需要増を受けて上昇しており約1万ドルだ。

――1万ドルという水準が高いのか安いのか判断ができません。

リチウムは鉱石から生産する方法とかん水(塩分を含んだ水)から生産する方法がある。鉱石から生産する場合、1トン当たり6000ドル程度と考えられる。5000ドルだと生産コストを割り込む。一般的にかん水からの生産のほうが安く4000ドル程度とされる。いずれにしろ、5000ドルだと生産側は非常に苦しい。

開発中のプロジェクトも多い

――わずか半年前に原価割れの水準だったとは意外ですが、EV向け需要が逼迫する恐れはありませんか。

さきほど年間生産量は約45万トンといったが、現状の生産能力は約60万トンある。また開発中のプロジェクトも多い。この先、短期的にはリチウムの供給が需要に追いつかない事態も起こりうるが、価格が高騰すれば供給量も増えていくので長期的には需要に対応できると考えている。

――主な埋蔵国や生産国はどこですか。

埋蔵量で見るとチリが約4割。オーストラリアが約2割、中国とアルゼンチンが10%弱を占めており、比較的偏在している。

次ページ生産は4カ国に集中、精製は中国依存度が高い
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