頭のいい人と平凡な人で違う「頭の使い方」の差 自分の周りに置き換えると本質が同じと気づく
例えば、広告や宣伝の効果的な方法を書いたビジネス書を読むと、広報の仕事をしている人に役に立つのは当然ですが、うまい頭の使い方ができている人ならば、まったく関係のない接客業やクリエイターのような仕事にも役立てることができるのです。
突拍子もないと思われるかもしれませんが、そういうことは結構あるものです。
なぜなら、問題の本質というのは似ていることが多いからです。
以前、私のほかに生物学や物理学など、異分野の研究者が集まって、自分たちが直面している問題についてプレゼンをし合うという集まりがありました。すると、分野は違っても、問題の本質は結構似たところにあるのだなということに気づきました。経済学と生物学は、当然ながらまったく違うものですが、経済学で悩んでいる問題と生物学で悩んでいる問題は、驚くほど構造が同じといってよいのです。
個々の動きをとらえられないという本質は同じ
生物学はどんどん深掘りしていくと、生物の中にある分子の動きが問題になるのですが、個々の分子の動きはきちんとつかまえることができず、ぼんやりとしかわからないそうなのです。
実は、その構造というのは、経済学において、社会の中で人々が動いている様子を把握しようとするときに似ています。個々の人がどのように動いているかは、やはり完璧な情報としては追うことができず、社会のトータルとして動きを把握するしかありません。
そのレベルで考えると、社会と個人の間の関係と、生物と分子の間の関係とが、まったく同一とはいわないまでも、似たような構造になっていて、研究者としては似たような悩みを持っていることがわかってきます。
逆にいうと、生物学の本を読むことで、それが経済学の理解や経営の問題に役に立つ面があり得るということです。問題の本質を理解することができれば、つまり問題の抽象的な意味合いや構造を理解することができれば、違う分野の情報であっても、自分のテーマを深掘りするのに役立てることが可能なのです。
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