「不登校の原因が担任…」親はどう対処すべき? 知っておくと役に立つ相談のフローや機関

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文部科学省は最近、「不登校傾向のその他」「病気傾向のその他」と出してくださいと通知を出し始めていますが、その長期欠席の状況を「病気」とするか「不登校」とするか、あるいは「その他」とするかは学校の判断によるわけです。

これは自治体によっても差がありまして、「病気」や「その他」がやたら多い自治体があるんですよね……もちろん、統計が全ておかしいとは数値を見るだけで言えませんが、東北6県は「その他」が5%と少なくて、原因をしっかり把握している印象です。

つまり、欠席の電話を「調子悪くて……」とすると「ああ、病気ですね」とすぐに判断する体質の先生・学校はある程度あるのかもしれません。親御さんからすると、「病気」以外で「行かない」と子どもが感じている事実があるならば、学校がそれをどう捉えているのかをすり合わせておく必要があるのです。話がかみ合わないとき、不登校でなく、「病気」と安直に捉えられている可能性があるかもしれません。

「家庭が悪い」「学校が悪い」となりがち

鬼澤:加えて、統計の見方という視点では、調査主体の視点からも考えてみたいです。先の文部科学省の調査は学校が上に上げるものなので、「家庭の不和」とかが原因に上がったりするのです。

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他方で、これは中学生を相手にしていますが、NHKが子どもに身近なSNSの「LINE」を使って直接調査したら、「学校の要因」とする回答が20%ありました。文部科学省の調査では2.2%だったのです。(参照:NHK「未来スイッチ」『不登校、その先を考えてほしい』)

くま:学校は家庭が悪いよね、家庭は学校が悪いよね、となりがちなのかもしれませんね。主役である子どもの中の原因について、しっかりと向き合うために、保護者、学校の先生、担任ではない先生、カウンセラーなど、話せるタイミングに話せる人が子どもに聞く環境を意識しておきたいです。そして言語化できる明確な理由がない場合があることも忘れてはいけませんね。

学校だけの問題にはせず、家族として数多く選択肢を用意しつつ、学校にも適切な対応をお願いしたいところです。

くま ゆうこ マモル代表

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Yuko Kuma

子どもや保護者が使ういじめの検知WEBサービスの運営や、SNSいじめ、ネットリテラシーに関する講演を行う。IT企業でコンテンツ企画やマーケティングを担当したのち、以前から問題意識のあった「いじめ」を少しでもなくしたいという思いから、2018年に株式会社マモルを設立した。テクノロジーでいじめやハラスメントを早期発見し、少しでも悩む人が少なくなる社会を目指す。2児を育てている。

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小野田 正利 大阪大学名誉教授

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おのだ まさとし / Masatoshi Onoda

1955年愛知県生まれ。専門は教育制度学・学校経営学。フランスの教育制度に関する「教育参加と民主制」の研究で日本教育経営学会賞(1997年)を受賞。公教育制度改革に関する研究、学校と保護者の関係に関する研究をすすめている。著書に『親はモンスターじゃない!—イチャモンはつながるチャンスだ』(学事出版)など。

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鬼澤 秀昌 弁護士

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おにざわ ひでまさ / Hidemasa Onizawa

おにざわ法律事務所代表 第二東京弁護士会・子どもの権利委員会、日本弁護士連合会・子どもの権利委員会、学校事件・事故被害者弁護団などに所属。自治体のスクールロイヤーや学校法人の顧問、教員向けの研修講師等も務める。また2020年1月より文部科学省スクールロイヤー配置アドバイザーも務める。

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