「不登校の原因が担任…」親はどう対処すべき? 知っておくと役に立つ相談のフローや機関

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次に、どうしても教室復帰が厳しければ、学校の空き教室や保健室に登校して別の先生や校長先生と一緒に勉強することを提案する。それでも学校が厳しければ、各自治体に「教育支援センター」という施設があるので、そこで勉強を進める形を提案する流れです。ただしここは施設容量の問題もあるので、通えるのは週に何日だけと決まっている場合もありますね。

こうしたところでリズムを取り戻しながら復帰へともっていきます。さらに厳しければフリースクールなどを考えるのですが、お金がかかりますし、自分に合う、合わないなどもあるので家庭の選択が必要になります。

学校外で言うと、電話相談や臨床心理士さんと会うなど、各市町村に整っていますので、そういうところに学校がつないでくれないなら相談してみることがよいでしょう。臨床的な視点など別の視点から適切な対応の案が出てくると思います。

仕組みとしてはこのような全体図です。質問者さんは1年次の担任の関わりがあるとのことですが、もしかしたらその担任はもうその学校にはいないかもしれません。原因が排除されたけれども先生という存在に不信感を感じている場合もあると思います。すぐには解決につながりませんが、臨床心理士さんとの対話などが提案できるでしょう。

また、不登校の原因は複層的なことが多いです。

学校以外での休息が必要な場合もある

次に見守る、という視点について考えたいと思います。1つ知っておきたいのは教育関係全体の動きとしては、必ずしも「不登校する子どもが悪」だとは最近は見なくなってきています。親御さんだけで抱えないでほしいのです。

鬼澤:そうですね。法律でも2016年に成立しました「教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」の中で、「休息の必要性もふまえ」という文言が書かれたこともあり、学校としても、不登校を問題として捉えずに、「必要な休息もある」という前提で捉えていく雰囲気が広がっています。知らない先生もいると思いますが。

制度としてはそういう前提で、法律に基づいて、フリースクールとか、学校外の施設での学習を出席扱いにすることついても見直されました。「学校復帰を前提としないといけない」と通知があったのですが、確保法の後に通知が変更されてその部分が削除され、「復帰した場合に問題がないように」という書き方になりました。

通知も復帰を前提としないとなりましたので、行政として「必ず学校に行かせよう」という姿勢ではないと思います。

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