「家庭の野菜炒め」べちゃっと仕上がる根本原因 火加減は最初から最後まで「ほぼ弱火」で大丈夫

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まず、強火炒めのほうは、明らかに「かさ」が減っています。つまりかなりの水分が出てしまっているようで、完成直後からすでにお皿の底に水分がたまっていました。

もうひとつ目立ったのは、野菜の色です。今回はキャベツを入れたのですが、葉の緑色はすっかり失われています。また、フライパンに張り付いてしまったキャベツはやはりあちこち焦げてしまっていました。

歯ごたえについては、キャベツの固い部分は「ガリッ」という食感が残る(ちょっと残りすぎ)のですが、もやしは炒める前よりずいぶん細くなってしまいました。

さらに30分ほどそのまま置いておくと、水分がさらに出てきてかなりベチャベチャになってしまいます。

栄養素も保持しやすい

弱火炒めのほうは、ニンジンやキャベツの固い部分には歯ごたえが残っているものの、キャベツの葉は炒める前よりも緑が鮮やかになり焦げている部分は見あたりません。30分おいても、ほとんどお皿に水分は出てきませんでした。

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食べ比べてみると、できあがり直後は強火炒めのほうも、「まずい」というほどではないのですが、やはり水っぽく、野菜の味よりも焦げた味を感じます。

時間をおいてからの違いのほうが歴然としており、弱火炒めは水が出てこないので前日に作ってお弁当に入れてもまったく問題がありません。温め直しにも非常に向いている作り方だといえます。

また水分流出が少ないということは栄養素も保持しやすいということでもあり、さらに食材周辺に流失する水分が少ないため雑菌が繁殖しにくく、冷蔵庫保存にも向いています。

水島 弘史 シェフ・料理科学研究家

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みずしま ひろし

シェフ・料理科学研究家。1967年、福岡県生まれ。
大阪あべの辻調理師専門学校および同校フランス校卒業後、フランスの三ツ星レストラン「ジョルジュ ブラン」を経て、東京・恵比寿のフレンチレストラン「ラブレー」に勤務、1994年より3年間シェフを務める。その他、視野を広げるべくさまざまな食産業の分野で働き、2000年7月、恵比寿にフレンチレストラン「サントゥール」を開店。後に「エムズキッチン サントゥール」と改め、2009年4月まで営業。また、1994年から料理教室の講師も務め、自店開店以降は、レストランと同時に料理教室も開催する。2004年から科学的調理理論を取り入れた独自の調理指導を始め、2010年に麻布十番に場所を移し「水島弘史の調理・料理研究所」を開く。大学、企業の研究所にもデータを提供、新メニューの開発や調理システムに関するアドバイスも行う。

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