ライオンズが中継映像「自前で作る」納得の理由 テレビで「同じホームラン映像」が流れる背景

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リニューアルされたメットライフドーム(写真:時事)
1996年から2005年まで西武ライオンズで選手として活躍、その後は球団職員に「転職」した西武ライオンズの髙木大成事業部部長による著書『プロ野球チームの社員』から、一部抜粋・再構成してお届けします。

以前はテレビ局から権利を購入していた

かつては、放映権を買ったテレビ局が中継映像を制作し、放送するのが当たり前のスタイルでした。おそらく多くの方は、現在もそうなのだろうと思っているのではないでしょうか。

しかし、現在のライオンズはそうではなく、球団が中継映像を制作しています。つまり、「放送する権利だけ」を買ってもらうのではなく、権利ともども、自前で制作した映像も買ってもらうようになった――これが15年間に起きた大きな変化です。

もちろん、球団が映像制作自体のノウハウを持っているわけではありませんから、実作業はその道のプロの方に業務委託をしています。ただし、球団が主体となって、その責任においてお金を拠出して、つまりリスクを負った上で中継映像を制作しているので、それに見合う対価を得るようになったのです。

それによるメリットはとても大きく、幅広いものがあります。たとえば、ある選手が2000安打などの個人記録を達成するとしましょう。当然、球団としては初安打のシーンとか、節目となったヒット、思い出の名場面などを場内のビジョンで流したり、公式サイトに動画を掲載したりして、盛り上げたいところです。

ところが、各テレビ局が映像を制作し、権利を持っていた昔であれば、たとえそれが自チームの出来事であっても、球団が各テレビ局から使用する権利を購入する必要があったのです。

一方、自前で映像を制作し、権利を持つようになった現在では、球団はさまざまな場面で過去の映像を活用できるようになりました。どんどん映像を見てもらう形で、ファンサービスとして還元できるようになったのです。

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