極右ユーチューバーが明かす「バズらせる手口」 アルゴリズムを味方に付けた男の自慢と後悔

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これらの動画はユーチューブをはじめとするソーシャルメディアの「エコー・チェンバー」にぴったりとフィットするように仕立てられていた。エコー・チェンバーとは、特定の価値観を持った者同士が閉じられた空間で似たような情報をやりとりし続けることで、その価値観が増幅され、影響力を強めていく現象を指す。

例えば、ユーチューブでは人々に動画を見続けさせるために、その人が以前に再生したのと似たような動画が次々と提示される仕掛けになっている。さらに視聴時間が長くなるほど、提示される動画は一段と過激なものになっていく場合がある。

「(オルタナ右翼の)教祖とか、ああいう極端な人間を生み出しかねない仕組みだ」とユーチューブの元エンジニア、ギヨーム・シャスロットは指摘する。シャスロットは、視聴者をどんどんと過激なコンテンツに導いていく同社のアルゴリズムを批判し続けてきた。

全世界のテクノロジー企業、規制当局、個人は今、ユーチューブなどのソーシャルメディアが持つ巨大な力を制御しようともがいている。広報担当者によれば、ユーチューブは2019年に「動画の推奨と、誤情報、ヘイトコンテンツの拡散防止について重要な変更を行った」。モリニューとジョーンズもユーチューブから締め出された。だが、それでも過激な動画は拡散され続けている。

極右イメージから「離脱」を図った

ロバートソンは、自分が制作に関わった動画が危険な憎悪をあおっていることを徐々に認識するようになったと話す。そして2019年にイギリスの左派系メディア「バイライン・タイムズ」が主催したイベントで、極右イメージからの離脱を図った。とはいえ、ロバートソンの変心には懐疑的な目も向けられた。

ロバートソンが懺悔するステージに登壇した反ファシスト活動家のルイーズ・ロウは「ロバートソンは(イベントで)放蕩息子のように扱われていた」と言う。「責任が問われないままになっている」というわけだ。

そのロバートソンが今回取材に応じ、ユーチューブで人気を得るために共同制作者たちとどのようにして対立をあおる動画を作っていったのか、舞台裏をつまびらかにした。

ロビンソンにも接触を試みたが、連絡を取ることはできなかった。ジョーンズには何度も取材依頼を行ったが返答はなかった。サザンからは、自分は単なる「保守」であり、「極右活動家」呼ばわりされるいわれはない、というコメントが返ってきた。

次ページアフリカ系移民による暴行ビデオの「裏側」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事