1本2億円も!過熱する「ウイスキー投資」の驚愕 拡大が続く市場、投資するファンドも登場

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一般に、熟成年数が短いウイスキーは、熟成年数が長いものに比べて味に深みがなく、香りも広がりに欠けます。ところが、カバランやアムルット、ポール・ジョンのウイスキーは、熟成年数が3年、4年という若い製品であっても、8年物、あるいは10年物に匹敵する“熟成感”があるのです。

ウイスキーの熟成に使われるのは木製の樽です。ウイスキーがもれない程度には密閉されていますが、気体はとおれます。ゆえに、ウイスキーは熟成している間も少しずつ蒸発しています。これを「エンジェルズシェア」(天使の分け前)といいます。

ウイスキーが蒸発して樽の中身が減ると、その分、樽のなかに酸素が取り込まれます。ウイスキーは樽のなかで酸素に触れながら、少しずつ熟成していくのです。

暑い地域は熟成の進みが早い

一般に、スコッチのエンジェルズシェアは年間2%ほどで、熟成がピークを迎えるのに15~30年かかります。対してカバラン蒸留所では、エンジェルシェアは17~18%になるそうです。

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ウイスキーが蒸発すれば、それだけ取り込まれる酸素の量が増加し、熟成はダイナミックに進みます。

カバランの場合、5~6年もすれば熟成はピークに達します。アムルット蒸留所やポール・ジョン蒸留所のウイスキーも同様で、実際の熟成年数以上の熟成感が感じられるのは、カバランと同様に熟成の進みが早いからでしょう。

現在、イスラエル、インドネシア、タイ、パキスタン、南アフリカなどにもウイスキーの蒸留所ができています。

いつか、暑い地域のウイスキーが「6大ウイスキー」「7大ウイスキー」に数えられるようになり、「ウイスキーは暑い地域でつくられたものに限る」といわれる日がくるかもしれません。

土屋 守 ウイスキー文化研究所代表

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つちや まもる / Mamoru Tsuchiya

1954年、新潟県佐渡生まれ。学習院大学文学部国文学科卒業。フォトジャーナリスト、新潮社『FOCUS』編集部などを経て、1987年に渡英。取材で行ったスコットランドで初めてスコッチのシングルモルトと出会い、スコッチにのめり込む。日本初のウイスキー専門誌『The Whisky World』(2005年3月-2016年12月)、『ウイスキー通信』(2001年3月-2016年12月)の編集長を務め、現在はその2つを融合させた新雑誌『Whisky Galore』 (2017年2月創刊)の編集長。1998年、ハイランド・ディスティラーズ社より「世界のウイスキーライター5人」の一人として選ばれる。著書に『シングルモルトウィスキー大全』(小学館)、『竹鶴政孝とウイスキー』(東京書籍)など。

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