「娘の障がい」契機に国会で闘う彼女の壮絶人生 「政治家の常識は古巣リクルートなら瞬殺です」
JR福知山線脱線事故で上司を亡くして
――新卒でリクルートに入社されたわけではないんですね。
新卒で入社したのはテレビ大阪(テレビ東京系)です。初配属は営業局、その後、報道局に異動し、大阪府警記者クラブのサブキャップとして事件取材やドキュメンタリー番組を制作していました。
営業から報道に異動する際、「たかえちゃん、がんばってね」と書かれたのし袋に1万円札を入れて送り出してくれたのが、2005年のJR福知山線脱線事故で亡くなった小杉繁さんです。異動の際、御祝儀をくれる上司なんて後にも先にも小杉さんだけでした。
ひしゃげた電車の1両目から、ご夫妻の遺体が守り合うように抱き合ったまま発見されたと聞いたときは、泣きながら「弊社取締役小杉繁夫妻の死亡確認」のニュース速報を打ちました。
私が井手正敬さん(JR西日本で社長、会長を務め、事故時は取締役相談役)に取材申し込みの手紙を送り続けたのは、懺悔を聞きたかったからでも、多くの乗客の命を奪った運転手の過失や、JR西日本の体質を批判したかったからでもありません。
こんな理不尽な事故はなぜ起きてしまったのか? その根っこに国鉄民営化によって生まれた歪みはなかったか? 犠牲になられた方や、自分の愛する家族はなぜ死ななければならなかったのか? これからも生きていく遺族の苦しみに対してJR西日本が手向けるべきは、ひとえに「二度とこのような悲劇を繰り返さないための具体策」ではないのか?
それを最も知るであろう、国鉄改革3人組と称された人の言葉を聞きたかったからです。井手相談役はすべてのメディア取材を断っておられましたが、「君の大切な上司を奪ってしまって申し訳なかった」と言って、私たちのインタビューには応じてくださいました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら