「娘の障がい」契機に国会で闘う彼女の壮絶人生 「政治家の常識は古巣リクルートなら瞬殺です」

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当時はWCM(ウィル・キャン・マスト)シートなるものを自分で作成しなければならなかったのですが、上司から「MUSTができないヤツにCANはない、CANができて初めてWILLがあり、WILLの先にしかFANTASYはないんだ」と言われ、妙に納得した覚えがあります。

自分の介在価値をつねに社会に訴え、評価に身をさらす苦しさはあるのですが、リクルートで働く人の特徴である「圧倒的当事者意識」は、こんな日常から生まれているのだと思います。

他にも「育ボスブートキャンプ」という、子育て未経験の管理職(ボス)が子育て中の部下への理解を深めるためのユニークな研修があります。ボスが部下の代わりに、子どもたちを迎えに行って、買い物に行って、夜ご飯を作って、食べさせて……を4日間やる。

ただそれだけなのですが、子育てと仕事の両立というたいへんな日常を実際に体験することで、なぜ部下が保育園からの「お子さん、お熱出ました」の電話1本で、大事なプレゼンまですっ飛ばしてお迎えに行かねばならないのか、18時の電話に出られないのか、20時半のLINEが既読にならないのか、説明しなくてもわかるようになったといいます。

「New Ring」という社内ビジネスコンテストは、『ゼクシィ』や『R25』、『スタディサプリ』を生んだあまりに有名な制度ですが、私も欠かさず毎年、応募していました。社内外の仲間と共に、未来のビジネスを想像する楽しさもさることながら、最新家電など参加賞の豪華さに思わず心躍ってしまいます。とにかく「9を10にする仕事」より「0を1にする仕事(ゼロからイチを生み出すこと)」が称賛される会社でした。

「心が折れない」最強の営業集団

――そうやって最強の営業マン、営業ウーマンが育つわけですね。

思い出すのは、『住宅情報マンションズ』が関西に進出するときのことです。全国津々浦々の営業を全員集め、大阪市内の不動産会社にローラー作戦を仕掛けました。5人の営業で2年かけてアポ取りするより、500人で一気に1日でやってしまったほうが効率的だというのです。

私も地図を片手にチームで飛び込み営業に勤しみました。ちなみにこのローラー作戦、あらかじめ分けられたいくつかの区域に、複数のチームが投入される仕組みで、どの区域で、どのチームが、何件の新規アポイントを獲得したかがリアルタイムに情報共有され、お互い競い合う立て付けになっています。当然、重複して飛び込んでしまうこともあるため「さっき断ったやろ!」とコワモテの不動産屋さんに怒鳴られたりして。

――そのくらいでへこたれているようでは、リクルートの営業は務まらない?

いい意味で「心が折れない」人が多かった気がします。毎朝、カランコロンと下駄を響かせて出社する人、昼休みには必ずトイレできっかり15分昼寝する人、なぜかいつもアフロのかつらをかぶっている人、つねにポストイットを持ち歩き、気になったことや思いついたことを何でもかんでも書き留めて、そこら中に貼りまくる「ポストイット・マン」など、結果を出せば、見た目やその他のことはとくに誰も気にせず、むしろ型破りなタイプが愛され、面白がられていたような社風でした。

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