東大の入試問題を「初見」でもラクに解くコツ 知らないことは「似た事柄」に置き換え考えよう
(小麦の栽培は、いまから約1万年前に、現在のシリアやイラクのあたりで始まりました)
小麦、その他の穀物を栽培することで、人々の生活のあり方はそれまでと比べて大きく変わったといわれています。どのように変わったと思いますか。
この武蔵中の問題を見て、「中学入試には、世界史の知識も必要なのか……」と思った人もいるでしょうが、そうではありません。この問題、「似た事柄」を思い出せば、日本史の知識で解くことができるのです。みなさんもちょっと考えてみてください。ヒントは、「小麦をあるものに置き換える」ことです。
そう、「あるもの」とは「米」です。稲作が広がった弥生時代(現在は、縄文時代の終わり頃に稲作が始まったとも言われています)のことを参考にして書けば、この「世界史」の問題も解答することができます。
小麦の生産によって食生活が安定したため、定住化が進み集落ができ、その規模も次第に拡大した。富の蓄積が可能になったことで、その拡大した集落のなかで階級ができることになった。また、富を巡って各地で集落同士の争いが起こり、その勝者がやがて国へと発展した。
この解答は、弥生時代に米の栽培が広がったことで定住化が進んだこと、保存ができるという米の特性が富の蓄積を生んだこと、そしてそれが階級や富を巡る争いに発展したことを書いています。たんに、米を小麦に変えただけです。
知識ではなく「思考法」が問われている
中学受験生には世界史の知識はありませんから、もちろんメソポタミア地域のことなど知りません。それは学校側もわかっています。学校側が求めているのは、「持っている知識を『平行移動』させて解いてください」ということ。それに気がつくことができるかどうかが、この問題のポイントです。
未知の問題に遭遇したとき、冷静になって「自分の知識のなかに『似た事柄』はないか?」と考えられるかどうかが、分かれ目となるのです。
「知識」と「思考力」は対立した概念のように語られることがありますが、決してそうではありません。「思考」はあくまで「知識」をベースとして成り立つことを、頭に入れておきましょう。
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