肥満の人ほど「感染症悪化しやすい」科学的根拠 BMI35〜40の人は死亡リスク40%増加の危険も

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ご存じの通り、肥満は糖尿病を引き起こす大きな要因であり、肥満の人は糖尿病予備群ともいえます。今回の新型コロナの出現によって、糖尿病患者やその予備群に新たな健康リスクが加わったのです。

もともと糖尿病患者さんにとって、今回の新型コロナに限らず、感染症は大敵でした。高血糖が持続すると、細菌やウイルス、真菌(カビ)などに対する抵抗力が弱くなり、風邪や肺炎など感染症全般にかかりやすくなるからです。昔から糖尿病患者は結核にかかりやすい、といわれてきましたが、それも同じ理由です。

1型糖尿病患者の死亡率は約4倍

近年、オーストラリアで糖尿病患者110万人を対象に行われた大規模な疫学調査(*Excess Risk of Dying From Infectious Causes in Those With Type 1 and Type 2 Diabetes.Diabetes Care. 2015 Jun 12)では、1型糖尿病患者(自己免疫の異常などで起こる糖尿病)の感染症による死亡率は通常の約4倍、2型糖尿病(体質や生活習慣などが原因で起こる糖尿病。糖尿病患者の95%以上を占める)でも約1.5倍と、健常者に比べ、かなり高い致死率が示されました。

糖尿病患者はインフルエンザやそれに続く肺炎での死亡リスクが高く、重症急性呼吸器症候群(SARS)なども糖尿病を有している場合は重くなりやすい上、死亡率も高いことが認められています。

その理由は免疫力の低下が関係しています。人間の体は体内に侵入しようとするウイルスや細菌と常に戦っています(抵抗力・免疫力)。これを感染防御機構といいますが、糖尿病になると、この機構が突破されやすくなってしまうのです。

より具体的にいえば、好中球の貪食機能が低下するためです。好中球は白血球成分の一つで、体内にウイルスや細菌が侵入すると、それを取り囲んで食い殺します(貪食)。血糖値が高くなると、この機能が低下するわけです。

糖尿病の患者さんで、歯周病菌による歯周病や真菌による爪白癬(爪の水虫)のリスクが高くなるのはそのためです。

さらに感染症にかかると、すい臓から分泌される血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの効きを悪くする物質が多く出されるため、血糖値が普段以上に上昇して血糖コントロールが悪化し、糖尿病そのものにも影響が出てしまうのです。

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