ウェルチが予言?「からくりTV」終了の理由 日本の家電とテレビ番組は同じワナに陥っている?

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耳が痛すぎる、ジャック・ウェルチの名言

同じようなことが、日本の家電業界でもいえるのではないでしょうか。日本の家電といえば、いろいろな機能を詰め込んだ多機能製品が多いですが、海外の家電メーカーの製品は、単機能製品が多く、マニュアルも紙1枚だったりします。結果、値段の高い多機能製品は、海外に進出すると安くて単機能な製品に負けてしまいます。フィリップスのノンフライヤーや、ダイソンの掃除機など、世界的なヒット商品はやはりシンプルです。

さて、「からくりTV」終了のニュースを聞いて、筆者が真っ先に思い出したのが、GEのジャック・ウェルチ元CEOの教訓です。ウェルチ氏は、講演やメディアで「シンプルに考えること」の大切さを繰り返し伝えています。

「シンプルに考えることは信じられないぐらい難しく、人はシンプルであることをとてつもなく恐れるものです。なぜなら、シンプルな発想を提示すれば、『この人は低能だ』と思われかねないからです。実際はもちろんその逆。強固な意思を持つリーダーは最もシンプルに考える人たちです」(出所:“GE's Jack Welch His Innovation Sealed The Company's Success” Christopher L. Tyner, 10/31/2000,

ジャック・ウェルチが言ったことをそのまま実施したAFVは、今なお放送を続け、何でも詰め込んだ多機能番組としたTBSの2番組は終了。やはり最後に勝つのはシンプルな番組なのだなと実感しました。

「さんまのスーパーからくりTV」と「笑っていいとも」の終了を見ると、日本を代表する名司会者をもっと生かして、最初のフォーマットをシンプルにしておけばもっと継続したのに、と残念な気持ちでいっぱいです。

だれか、タモリさんの司会で「レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン(CBS)のようなシンプルで洗練された番組を作ってれないかな~。

 

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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