Mattママが語る「野球を強制させない」深い訳

さまざまな選択肢と可能性を息子に与えた

Mattは桑田真澄の息子ですが、桑田真澄ではないし、彼には彼のやりたいこと、そして彼にしかない良さがある。だからMattを守るためにも、長男と同じチームでは野球をさせない、話題に上らないように自宅から離れた野球チームでのびのび野球をさせる。その点は配慮していました。

もちろん、周囲のかたも悪意があるわけではありません。Mattをよく知らなければ、そう思うのも当然です。

だけど、「野球選手を目指すべきだ」と言う人たち自身が、彼の人生を歩むわけじゃない。だったら、本人の意思を無視してまで、そこに耳をかたむけてはいけないと思っていました。

夫は幼いMattを見ていて、体格的にも運動神経的にも野球に向いていることに気づいていました。今はまだ野球への興味に目覚めていないだけで、いつか野球に夢中になってくれるんじゃないか……そんなふうに心の中で期待していたのです。

だって夫にとって、野球は人生のすべて。素質を感じ、さらに野球をする環境にも恵まれているのに、本気で野球に取り組もうとしないことがいまひとつ、理解できなかったのかもしれません。

野球を本気でやるかの決断時に…

Mattが小学6年生のころ、夫は地域の中学生を対象にした「麻生ジャイアンツボーイズ」というボーイズリーグのチームを運営していました。そこに入るには、投げる、打つ、走るなどの基本的なテストや親子の面接もありましたし、夫の野球チームに入りたいというお子さんがたくさん来てくださって、入るのは狭き門でした。長男も小学6年生のときに試験を受け、そこで日々、練習に励んでいたのです。

Mattが中学生以降に、野球を本格的にやるならば、6年生でその夫のチームのテストを受ける必要があり、姉の家の近所のチームでのんびり野球を続けていたMattにも、それを受けるかどうか、つまり野球を本気でやるかやらないかを決める、デッドラインが迫っていました。

夫は普段から、子どもたちに野球をやれなんて決して言いませんでしたし、そんなそぶりを見せたこともありません。

だけど、周囲の期待をやっぱりMattなりに感じていたんでしょうね。Mattが6年生に進級したころから、私とMattは折に触れ「そろそろ決めなきゃね」と話してはいました。

そして入団テストの申し込みが近づいたある夜、2人で「明日、パパに野球は小学校でやめるって話そうね」と決めたのです。

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