コロナ4・5波「必ず来る」想定で備えが必要な訳 ワクチン耐性の変異株広がる前に何ができるか

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その際に注意しなければならない点は、新型コロナの感染拡大には時間がかかることだ。下表をご覧いただきたい。

G7諸国において、昨春~夏、および今冬の流行で、感染が拡大し始めてから新規感染者数がピークになるまでに要した日数を示している。昨春~夏の場合、34~77日、昨冬の場合、108~190日だ。日本はそれぞれ77日と108日だ。新型コロナはいったん感染が拡大すると、数カ月をかけて徐々に増えていく。そして、その後、数カ月をかけて収束していく。

今回、感染者数が増加に転じたのは3月7日だ。7月23日に開会式が予定されている東京五輪がどうなるか予断を許さない。私は、今夏の新型コロナの流行は簡単には収束しないと考えている。問題となるのは変異株の存在だ。変異株の感染が拡大したブラジル、南アフリカの1月の感染者数は北半球のカナダやメキシコを上回った。真夏の南半球で、真冬の北半球並みの流行が起こっていたことになる。南アフリカやブラジルで流行した変異株の感染力の強さがご理解いただけるだろう。

変異株への対応を間違えると悲惨な事態にも

今後、南半球は秋から冬へ向かい、本格的な感染拡大の時期へと突入する。変異株への対応を間違えれば、悲惨なことになりかねない。その典型例がブラジルだ。夏場の感染が収束せず、そのまま拡大している(下図)。これは日本にとってひとごとではない。今夏、東京五輪で感染が拡大し、そのまま秋から冬を迎えれば、冬場に到来する第5波の感染者数は昨年レベルでは終わらないだろう。

どうすればいいのか。一刻も早くワクチン接種を行き渡らせて、集団免疫を獲得するしかない。その際に問題となるのは、変異株の存在だ。変異株が厄介なのは、ワクチン耐性のリスクをはらむからだ。アストラゼネカやノババックス製のワクチンが、南アフリカ株やブラジル株に対して効果が落ちることはすでに広く報じられている。

日本で接種が進んでいるファイザー製のワクチンは、日本で感染が拡大しているイギリス株に対して、十分な感染予防効果が期待できると報じられているが、このまま感染が拡大すれば、ファイザー製のワクチンに対する耐性株が出現するのは時間の問題だ。なぜなら、一連のワクチンがスパイクタンパク質を標的にしているからだ。この部分は人体で免疫を惹起(じゃっき)しやすいが、突然変異が起こりやすい。

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