このことは新型コロナの流行を予想するうえで重要な情報だが、これまでほとんど議論されてこなかった。それは、風邪コロナは、罹っても自然に治癒するため、専門に研究する人が少なかったためだろう。感染研のデータもサンプル数が少なく、どこまで実態を正確に反映しているかわからない。
これは日本に限った話ではない。海外でも風邪コロナの研究者は少なかった。ただ、新型コロナが流行し、状況は一変した。多くの研究者が風邪コロナに関心を抱き、多数の論文を発表した。そして、昨年11月にオランダのアムステルダム大学の研究者が英『ネイチャー・メディスン』誌に「季節性コロナウイルス(注:風邪コロナのこと)の免疫は長続きしない」という論文を発表するなど、風邪コロナの実態が急速に明らかになっていった。
冬場より規模は小さいが夏場にも流行する
季節性変動も例外ではない。詳細は省くが、昨年、イギリス、フランス、韓国などから、風邪コロナの流行の季節性変動についての論文が発表された。いずれの論文でも共通するのは冬場と比べて規模は小さいが、夏場にも流行することだ。
では、このような性質を新型コロナも持っているだろうか。昨年1年間の流行状況をみていると、どうやら答えは「イエス」のようだ。下表をご覧いただきたい。世界各国で感染者数がピークになった日と、そのときの新規感染者数を示している。
1月と8月を中心に二峰性の分布をしていることがわかる。感染者数、感染対策は各国で異なるのに、感染がピークになった日は驚くほど似ている。季節性の変動なしに、このような状態ができることはない。
このような事情を考慮すれば、今夏も新型コロナが流行してもおかしくはないことがご理解いただけるだろう。私は、現在「リバウンド」と称されている現象は、このような季節性変動と絡めて議論すべきと考えている。
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