厚労省官僚「銀座で0時頃まで23人宴会」のあぜん 時短要請の21時を過ぎても帰らず、店に残り

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緊急事態宣言が解除されたからとはいえ、感染の再拡大が懸念されており、企業や団体は、夜の会合や宴会の実施について独自の基準を定め、社員や職員などに順守するよう求めている。例えばある大手銀行は原則禁止、どうしても必要な場合は上司の承諾を得たうえで認めるものの、参加者は最大4人までにするよう求めているという。

この銀行の幹部は、「従業員を守るという意味に加え、相手にも迷惑をかけてしまうのを防ぐためだ。万が一クラスターなどを起こしてしまえば、社会的な責任も問われかねず、しばらくの間は細心の注意を払っている」と語る。

会合の制限基準はあるものの順守されず

法制度で公に定められていないとしても、社会的責任を鑑みて内規の整備や通達がなされている組織は少なくない。こうした取り決めがコロナ対策の総本山である厚労省にはないということなのか。

厚労省は、「大臣官房人事課から各部局に対し、業務後の大人数での会食や飲み会を避けるよう指示している」とするとともに、政府が2020年3月28日に発表した「感染リスクが高まる5つの場面」に該当するような行動は避けるよう指示しているという。次の5場面だ。

①飲食を伴う懇親会等
②大人数や長時間におよぶ飲食
③マスクなしでの会話
④狭い空間での共同生活
⑤居場所の切り替わり

今回はこの「5つの場面」のうち、「①飲食を伴う懇親会等」「②大人数や長時間におよぶ飲食」「③マスクなしでの会話」という3つに該当。特に、②の中で感染リスクが高まる事例として上げられている「5人以上の飲食」についても完全にアウトだ。

こうした事態について厚労省は、「今回の会食は指示の趣旨に反するものであり、再発防止のため改めて指示をし、全職員の認識を徹底することとする」とコメントする。    

確かに新型コロナの感染が拡大して以降、対策の中枢を担ってきた厚労省の職員たちはハードな仕事を強いられてきたため、宣言解除で気が緩んだのかもしれない。4月の新年度を控えた人事異動はどの職場にもあり、送別会を大々的に開きたくなるところだ。国民のコロナ疲れも限界に来ている。

しかし、国民に対し不自由な生活を強いている立場であることを考えると、いささか軽はずみな行動だったのではないかと言わざるをえない。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。

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