コロナ後に残る会社と落ちる会社の決定的な差 IT、デジタル、グリーンの地殻変動を見極めよう

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さて問題はワクチン接種が進み、コロナ後が見えてきた現在、コロナ禍で勝ち組となった企業がそのまま高い成長力を維持していけるのか。逆に、コロナで大きく業績を悪化させた企業は、コロナが収束すればまた元の業績に戻ることができるか……。

株式市場ではコロナ後が見えて来た段階で、それまでの流れが大きな変化を遂げている。とりわけ、アメリカでは20年ぶりの大差で「バリュー株(割安株)」が「グロース株(成長株)」をリードしていると報道された。

アップルやアマゾンといった巨大なハイテク企業が、これまでずっと自動車とか鉄鋼、素材と言ったバリュー株を上回って上昇してきたトレンドが、ここにきて逆転した。

バリュー株の中でも、とりわけエネルギーや金融、ヘルスケアが買われているといっていい。その背景にあるのが、アメリカの長期金利の上昇だ。ハイテク銘柄の多くは、コロナ禍の中で買われすぎになっており、「金利上昇→株価下落」の連想から売られやすくなっており、コロナで買われすぎている株は当面売られることになるかもしれない。

問題は、コロナで成長の原動力となったIT、デジタル化、グリーン化といったキーワード関連の企業が、今後も高い業績を上げられるかどうかだが、コロナの収束の仕方によって、そのシナリオは微妙に変わってくるかもしれない。

いつまでも、ロックダウンが散発的に実施されるような事態が続けば、再びコロナで成長した企業が注目される。現に、フランスはここに来て再びロックダウンに入っている。実際に、キーワード別にビジネスの変化を見てみよう。

IT戦略やデジタル化が肝に

IT(eコマース)化

人の流れを止めてしまったコロナによるパンデミックでは、生活必需品を販売するスーパーやコンビニなども含めて、ビジネスの形態が大きな変化の兆しを見せている。たとえば、無人店舗の積極的な展開が目立つようになってきた。セブン-イレブン・ジャパンは、2025年末までに全国1000カ所に無人販売所を配備すると発表しているし、NTTドコモもITや5Gを使って、あらゆるモノがネットにつながるIoT(モノのインターネット)機器を搭載した自販機などを駆使した無人店事業に乗り出している。人手不足の解消という狙いもあるが、コロナ禍によってその動きが加速されたとみるべきだ。

ZARA(ザラ)といったアパレル大手も、巨大スタジオの新設などを通して電子商取引へのシフトを鮮明にしている。小売りの世界では、もともと既存のビジネススタイルだけでは生き残れない兆候が表れていた。そこに現れたコロナ禍は、既存のビジネススタイルからの脱皮を後押しすることになったわけだ。

ただ同じ業種の中でも、今後はこうしたIT戦略やデジタル化に乗り遅れてしまう企業と、時代の先を読んで変化に対応できる企業との格差が明確に出て来ることが予想される。たとえば、アマゾン・ドットコムなどはコロナの前から無人店舗の開発に乗り出していた。

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