コロナ後に残る会社と落ちる会社の決定的な差 IT、デジタル、グリーンの地殻変動を見極めよう

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BIS(国際決済銀行)は2020年1月に、気候変動に関するレポート「グリーンスワン」を発表し、今後最大18兆ドル(約1900兆円)の「座礁資産(Standed Asset)」が気候変動によって棄損すると警告。フランスの銀行のビルロワドガロー総裁も、ECB(欧州中央銀行)は2.4兆ユーロ(約310兆円)の保有資産を脱炭素化に向けて拠出するべきだとコメントしている。

コロナ対策と脱炭素化への投資はセットにして進めなければいけない――というのが世界共通の認識になっている。そんな中で、デジタル化、グリーン化の両方で世界に後れを取ってしまった日本では、菅政権がやっとグリーン化への道筋を表明した。

日本は、福島原発の事故を機に大きくグリーン化に向けて舵をきれる絶好の機会を逃してしまった。既存の産業や既得権益者の就縛から逃れられなかったのは政治の責任だろう。

たとえば、日本の製造業の中核に位置する自動車産業ひとつにしても、クルマは製造、走行、破棄のすべての段階でCO2を大量に消費するといわれており、自動車産業自身も製造過程のエネルギーを再生エネルギーに転換していかなければ生き残れないといわれる。日本ではクルマを生産できなくなる、という指摘もあながちオーバーではない。

金融セクターでも投資先の脱炭素化が必須

コロナ後の産業構造の大きな変化のひとつが、脱炭素化であり、グリーン化経済への転換というわけだ。たとえば、銀行などの金融セクターでも投資先の脱炭素化が必須項目になってきており、SDGs=持続可能な産業社会やESG(環境、社会、ガバナンスへの取り組み)に向けた投資ができる金融機関と、できない企業の格差が拡大していくことになる。

衣料販売店大手の「丸井グループ」は、デジタル化を活用してCO2排出削減を目指す事業に取り組み始めた。2020年9月からスタートさせた電力契約の申込サービスだ。

スマホを使って電力の検針票を撮影、自分の名前や住所などを画面で確認するだけで、再生可能エネルギー由来電力へ申し込める。

デジタル化、グリーン化双方を見据えた未来志向型のビジネスといっていいだろう。こうした取り組みを先取りして推進できるかが、企業存続のカギになるのかもしれない。

コロナ禍の中で、気の早い金融市場は次のステージにシフトする準備を進めている。しかし、現在世界中で打たれているワクチンも、半年後も有効かどうかさえもわかっていないのが、現在の「COVID-19」の実態だ。

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