コロナ禍に見舞われた2020年も残すところ1カ月を切った。12月は1年で最も忙しくなる時期だ。企業にとって12月は従業員への冬のボーナス(賞与、一時金)の支給のほか、取引先への支払いなどがかさむ時期。無事に年が越せるかと気をもんでいる企業経営者や経理担当者もいるだろう。
一般家庭だけでなく、企業もお金がなければ破綻する。そんな企業の財務健全性を示すのがネットキャッシュだ。現預金と短期保有の有価証券の合計額から、有利子負債と前受金を差し引いて算出する。企業の実質的な手元資金であり、多いほど財務安全性が高い。
東洋経済オンラインは約3700社以上の上場企業の直近本決算をベースにネットキャッシュを割り出し、上位500社をランキングにした。例年同時期に同じ内容のランキングを公表しており、今年は6月にコロナ不況を受けて半年前倒しで掲載したが、今回のものが2020年決定版だ。
コロナに「強い」企業はどこか
最新ランキングの1位はソニー。ネットキャッシュの額は1兆8851億円だった(前回は1兆4351億円)。直近の2020年4~9月期連結決算は、本業の儲けを示す営業利益が前年同期比7.1%増の5461億円と、上半期として過去最高を記録した。
2021年3月期については、10月28日に業績見通しを上方修正。コロナ禍の巣ごもり需要がゲーム事業などの追い風となり、営業利益の予想を当初の6200億円から7000億円へ修正している。
需要減少を受けてイメージセンサーの設備投資は減額する一方、アフターコロナを見据えた戦略投資は継続していく必要がある。その意味において、日本企業トップのネットキャッシュは大きな強みとなりそうだ。