2位は、任天堂の1兆2167億円(前回は1兆0829億円)。2020年3月期はゲーム機「Nintendo Switch」シリーズの販売台数が大幅に伸びたことに加え、「ポケットモンスター ソード・シールド」「あつまれ どうぶつの森」といった人気タイトルの続編が好調な売り上げを記録した。その結果、営業利益は3523億円(前期比41.1%増)となり、キャッシュも大きく積み上がった。
巣ごもり需要の拡大で販売台数はさらに伸びており、11月5日に2021年3月期の業績見通しの上方修正を発表。営業利益は前回予想から1500億円増の4500億円になった。Nintendo Switchの予想販売台数は、期初予想から500台増の2400万台、ソフトも3000万本増の1億7000万本に上方修正している。
3位は、半導体シリコンウエハで世界首位に立つ、信越化学工業の1兆0644億円(前回は1兆0274億円)。2020年3月期の営業利益は4060億円で、前期に比べて0.6%の微増だった。
同社のIR資料には「世界経済は、感染や健康不安に由来する需要の減退や変容がいくつかの市場や地域でまだ見られており、今後も続きうる状況です。その中で当社グループは、すべての事業を伸ばすための取り組みを推し進めてまいります。開発投資も緩めず、早期に実現させてまいります」とあり、潤沢なキャッシュを元手に一段と競争力を高めていく構えだ。
以降もトップ10圏内には、4位のキーエンス、5位のファーストリテイリング、8位のファナックと、日本を代表する有力企業が並ぶ。
2008年秋のリーマンショック時に頻発したのが「黒字倒産」だ。決算上の業績は黒字なのに、資金繰りが急速に悪くなった企業が何社も倒産した。逆にいえば、本業がいくら赤字であってもキャッシュが回り続けていれば、企業が潰れることはない。
一方で、ネットキャッシュが積み上がっていることだけを単純に喜べない。コロナ後を見据えれば、新しい時代に求められる製品・サービスの開発に向けた投資にも、潤沢なキャッシュを回していく必要がある。
その意味において、今回のランキングはアフターコロナの有望企業を探す、1つの手がかりになるかもしれない。それでは、最新ランキングを見ていこう。