一汁一菜「100円飯」がフレンチより幸せな訳 コロナで収入激減でも平気!「買わない」生活

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ま、その自慢話はおいおい語りまくっていくとして、今回言いたいのはそういうことではない。

「高級フレンチ」より「玄米飯」の幸せ

肝心なことは、私はいま365日こんなものを食べているということだ。

飯・汁・漬物。リアル一汁一菜のワンパターン。会社員時代はこんなものは食事じゃないと思っていた。だっておかずがないヨ!? 刑務所じゃあるまいし! っていうか佐藤優さん原作の獄中記マンガで読んだ拘置所飯のほうが明らかに豪華である。

しかし今やこれが最高。よく「飽きませんか」と言われるが飽きないんだこれが驚いたことに。つまりは毎日こんなワンパターン飯をキャッキャと食べる暮らしになってはや5年、いまだに飽きる気配ゼロ。となれば生涯これを食べ続ける可能性ほぼ100%。

ってことはですよ。人間なんて毎日美味いもん食ってれば大体幸せなんであって、つまりは余裕をもたせても月2万円もあれば私の幸せは死ぬまで余裕で確保されたのだ。となれば金の心配って何ってことになる。

要は考え方なのだ。何を幸せと思うのか。

こうなってみて気づいたのは、人の能力とは実に有限で、あることに夢中になっていると、別のことが見えなくなるということである。ごちそうにばかり夢中になっていると、玄米飯の美味しさに気づく余裕などない。ならば玄米飯の美味しさに夢中になり、ごちそうが眼中になくなるのもフツーのことなのだ。

なのでもし今「銀座で高級フレンチ奢るヨ」と言われたら全力でお断りする私であります。高価で美味しいものって、今の私にはちょっとシツコイんだよね。もうそんなトシである。図に乗って食べると体調崩す(←経験者)。もう人生の残り時間は有限ゆえ万全な体調でいることは何よりの宝。そんなこんなで、我が家のちゃぶ台で梅干しとご飯をもぐもぐしてじんわりにじみ出る滋味をかみしめるほうに一票。

何が美味しいか、あるいは何が幸せかの答えは自分の中にしかない。金がなきゃうまいもんが食えない、あるいは幸せになれないなんて、まったくどうかしてる思い込みだったんである。

というわけで、なにしろ何が起きるかまったく予測もつかない時代である。そんな中を朗らかに生きて行く方法は様々にありましょうが、私が体を張った紆余曲折と試行錯誤の末にたどり着いた「買わない生活」のノウハウをウッシッシと自分一人の胸に収めておくのもどうにももったい無く、この連載の場をお借りして皆様に大公開したく思う。

具体的な参考に、あるいはもしもの時の気休めに、あるいはただの笑い話として、用法用例は自由。何はともあれ読んでいただければ幸いであります。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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