ルネサス、工場火災で半導体不足に拍車の深刻 茨城・那珂工場で火災、1カ月以内の復旧目指す

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最近では、半導体不足の問題を受けて、在庫水準の見直しを宣言。製造途中の製品を持つことでコストを抑える新たな取り組みを準備していたが、間に合わなかった。

自動車メーカーにとっても、ルネサス以外の製品に乗り換えることもすぐには難しい。安全性が重視される自動車用部品は仕様が細かく決められており、とくに半導体は長い時間をかけて採用される。他社製品では設計に微妙な違いがあり、代替は簡単ではない。

ルネサスは当面出荷を続けるものの、火災による影響は4月以降に顕在化してくる。自動車メーカー各社でつくる日本自動車工業会では、担当者が集まって意見交換を始めた。

トヨタや日産も生産調整に追い込まれる

自動車各社はルネサス以外の半導体不足による生産調整にも直面している。激しい寒波に見舞われたアメリカのテキサス州では、車載半導体首位のドイツのインフィニオンや同2位のオランダ・NXPセミコンダクターズの工場が電力不足などから稼働停止に追い込まれた。

その余波を受け、トヨタでは22日からチェコ工場の2週間停止を余儀なくされた。日産自動車やホンダなども生産調整に追い込まれており、これが春以降も継続する可能性が高い。ある大手自動車メーカー幹部は「弱り目にたたり目だ」と漏らした。

1カ月以内に生産を再開できたとしても、火災前のフル稼働に戻るには時間がかかる。一部の装置は交換が必要で、それを1カ月以内に準備できないからだ。消火活動の際にクリーンルーム内にまかれた水や、大量に発生したすすの影響の確認など、生産再開に向けた作業はまだ残されている。

ルネサスをはじめとした半導体各社は、設計開発に注力し、製造はTSMCなどに委託する「ファブライト化」を進めてきた。今回はそのことが比較的傷を浅くしたが、そもそもの半導体不足は、ファウンドリーに車載向けの生産枠を確保してもらえないことに起因している。

ルネサスは一部半導体を自社生産に戻すなどの対応をとったが、今回の火災によりそうした対応も今後難しくなる。出口の見えない綱渡りがしばらく続きそうだ。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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