米ファーウェイ制裁でも影響が限定的な理由 日系電子部品メーカーは禁輸に意外と楽観的
「ファーウェイのスマホはもうないも同然ですね」
都内のある家電量販店の店員は小声でそう明かす。複数の家電量販店を回っても、ファーウェイ製のスマートフォンは店頭に並んでいない。あったとしても店の片隅に置かれているにすぎない。
在庫が尽きるのを待つだけの状態に
アメリカ政府によるファーウェイに対する半導体輸出規制が9月15日に発効した。ファーウェイは事実上、世界各地からスマホに使用する半導体を調達できなくなり、スマホの生産・販売を継続できるかどうかの瀬戸際に追い込まれている。
ファーウェイへの輸出規制が本格的に始まったのは2019年5月からだ。当時の規制対象はアメリカ企業の製品や技術が25%以上含まれている製品やソフトウェアなどだった。今回の禁輸措置は2020年5月と8月に発表されたもので、アメリカの製造装置や設計ソフトを使用した半導体をファーウェイに供給することを禁じた。
最先端の半導体の開発や製造過程では、アメリカ製の半導体設計支援ツールや半導体製造装置を使うことが一般的だが、ファーウェイが直接製造に関わっていないとされる半導体すら調達できなくなる。ファーウェイは現在、スマホをはじめとする各種電子機器の生産に不可欠な半導体を新規に調達できず、在庫が尽きるのを待つだけの状態になっている。
一連の制裁の影響は開始前からすでに出ていた。ファーウェイに半導体など数多くの電子部品を輸出する台湾では8月の輸出額が前年同月比8.3%増の311億ドルとなり、単月として過去最高を記録。台湾財政部の蔡美娜統計処長は「ファーウェイに対する禁輸措置が要因」とし、制裁強化を前にファーウェイが部品調達を急いだことが背景にあるとの見方を示した。
ファーウェイに半導体を供給していた台湾の半導体メーカー幹部は「チャーター機などあらゆる方法で急いで出荷していた」と振り返る。
ファーウェイの財務資料によると、2018年の1年間で原材料の在庫は86%増の354.5億人民元(約5500億円)に、2019年末はさらに65%増の585億人民元(約9000億円)となっている。2020年に入ってからもさらに部品在庫を積み増していると考えられる。
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