日米地位協定を放置する日本が抱える根本問題

バイデン政権の対日期待と現実のギャップ

そのため、本土各地で自衛隊基地や民間空港への米軍機の緊急着陸や、米軍・自衛隊基地がない市街地や海岸・山間部での米軍機の低空飛行が増加。自治体・住民の申し入れに反して自衛隊基地で米軍の夜間演習が行われたり、コロナ感染の可能性がある米兵が市街地で宿泊や飲食をしたりといった出来事も、住民の米軍訓練反対の声を高めている。

まずは足元をかためる必要がある

全国知事会は2018年7月、日米地位協定の抜本的改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択。沖縄県の要望を受けて2年間の調査を行った結果をふまえ、米軍の事件・事故、犯罪を抑制するために、航空法などの国内法令を米軍基地に適用することを提言している。

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現在の日米安保条約発効から60年となる2020年6月23日に合わせ、毎日新聞が全国の知事を対象に実施したアンケートでも、日米地位協定の見直しを求める知事は39都道県にのぼった。しかし、政府は一貫して日米地位協定は「運用の改善」で対応するとの立場で、日米地位協定の見直しを検討しようとさえしていない。

住民保護の仕組みが欠落した南西防衛や、住民を米軍の騒音や事件・事故にさらす日米地位協定をそのままにし、改善の手立てを打たない日本政府が、はたして国内で積極的なミサイル配備や開発・導入を進めていけるのか。イージス・アショアの例もある。米国の期待に応えようとしても計画倒れに終わるのではないか。メディアも識者もまずは現実を省みてほしい。

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