日米地位協定を放置する日本が抱える根本問題

バイデン政権の対日期待と現実のギャップ

オバマ政権期に決定された、中国のミサイル攻撃を回避するための米国の兵力分散化、という流れは変わっていない。しかし、オバマ政権が「拠点の分散化」だったのに対して、トランプ政権は「訓練の分散化」へと戦略が変化した。新戦略のもとでは、尖閣有事や台湾有事には沖縄は最も重要な軍事的拠点となるため、拠点となる基地は変わらず維持しておきたい。しかし、沖縄は米軍が集中しすぎて中国によるミサイル攻撃に対して脆弱なので、平時は沖縄以外の場所に兵力を分散させておきたいということだ。

バイデン政権の対中戦略と日本の役割

バイデン政権が「拠点の分散化」と「訓練の分散化」のどちらを重視するのかは、まだ不明である。同政権でインド太平洋地域の調整官となったカート・キャンベル氏は、2021年初頭に『フォーリン・アフェアーズ』に掲載した論文で、中国のミサイル能力に対して脆弱な態勢を見直し、「東南アジアやインド洋にわたって米軍の兵力を分散するために他国と協力」して、「東アジアにおける少数の脆弱な施設への米国の依存を低下させる」必要性を提唱した。

オースティン国防長官も同年1月、上院軍事委員会で、米国は中国に対抗するために、より分散化された兵力態勢が必要であり、プレゼンスのあり方などを検討すると述べている。

バイデン大統領も2月11日、米軍のグローバルな態勢の見直しを実施することを発表した。米政府はこの作業を今年前半には完了させ、同盟国と緊密に協議する方針であるといわれている。この態勢見直しがどのようなものになるかは明らかではないが、分散化やローテーション化を重視することが予想される。

バイデン政権は、対中抑止における日本の協力を期待しているという。攻撃を受ける前に敵の拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の検討や、アジア太平洋地域での中距離ミサイル配備などの協力を進めたい思惑がある。日本のメディアや識者の間からも、これを日米同盟強化の絶好の機会と考える声が挙がっている。

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