「エネットは家庭向け電力小売りにも参入」 新電力として設立から14年、池辺裕昭社長に聞く

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また、当社の株主であるNTTファシリティーズと共同で、マンション一棟単位での電力供給(現在、約200棟2万戸)も行っており、スマートメーターを使って各戸に同様の見える化やDRのサービスを提供している。低圧の一般家庭用と違って高圧契約なので各戸の料金は従来よりも5%程度安くなり、DRなどを通じた節電効果も含めると20%くらい安くなる場合もある。

全面自由化になれば戸建てにも市場が広がる。現在、戦略を練っている最中だが、顧客の期待に沿うような新しいサービス、料金メニューをどんどん提供していきたい。

IT活用が最大の決め手に

いけべ・ひろあき●1973年、九州大学工学部卒業、日本電信電話公社入社。85年、ネットワーク事業本部担当部長。92年、NTTファシリティーズ入社。2001年、取締役。09年、副社長営業本部長。11年よりエネット社長。

――東京ガスや大阪ガスを含めた株主との役割分担や提携戦略は。

株主とは基本的には連携してやっていく。各社にさまざまなチャネルもあるので、それらをうまく活用できればと思う。競合する部分もあるかもしれないが、各社がハッピーになる仕組みになるよう、いろんな形を検討している。

家庭向け電力の参入では、さまざまな会社と提携を組むことになるだろう。家庭とつながっている会社は多い。NTTなどの通信会社もつながっているし、楽天も会員とつながっている。楽天とは、マンション向けDRサービスにおいて、需給逼迫時に節電のために外出して楽天加盟店に行くと、より多くのポイントが貯まるサービスを試験的に行っている。

電力自由化は、いろんなジャンルの会社が参入し、新しい発想でビジネスモデルやサービスを考えられるところが最大のメリット。サービス開発ではIT活用が最大の決め手になると考えている。

――新電力にとっては、電源確保の難しさが成長の制約となりうる。

当社は現状、天然ガス火力発電が調達電源の中心で、大型水力発電や原子力発電、大型石炭火力といった一日中動かせるベース電源をなかなか持てない。そのため、電気の使用が昼間中心のオフィスビルが顧客数全体(約1.8万件)の約6割を占める。

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