相手にきっと伝わる「わかりやすい説明」5カ条 池上彰、佐藤優が語り合う「伝え方のコツ」
まず何を伝えたいか把握する
佐藤優(以下、佐藤):物事の本質を変えず世の中に広く知らしめていくことを「通俗化」と言います。難しいことを平易な言葉で、かつおもしろく伝える。この通俗化の作業は欧米では非常に高い地位を与えられ、「通俗本」も数多く出版されてきました。
池上彰(以下、池上):佐藤さんのコラムでも「通俗本」のすすめが書かれたものがありますよね。
佐藤:はい。しかしその一方、日本では長らく、通俗化は物事の本質を損ねる悪いことのように思われてきた。物事をわかりやすく解説している本は、とくに戦前の東京帝国大学(今の東京大学)の学者の間では下に見られていたのです。しかし物事の本質を損ねることなく、わかりやすく説明することは可能なんだと、それを現代日本において広く知らしめた池上さんの功績は大きいと思います。
池上:記者としてスタートし、キャスターになってからずっと、さらには『週刊こどもニュース』を担当してからはなおのこと、「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか」と考え続けてきました。自分のキャリアのなかで必要性を感じ、突き詰めてきたことが、期せずして多くの方に喜ばれているのなら幸いなことです。
佐藤:今回の記事では、池上さんが今までに確立してこられた「わかりやすい説明」について伺えればと思います。